(書籍)(小説・エッセイ)『しあわせの書』

  泡坂妻夫著『しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術』(1987)新潮文庫

・・たまたま目にとまったyou tubeで紹介されてた本書を初めて知り即購入に。清張作品のような重さも暗さもなく、サラリと読んだ。

映画にたとえるのもなんだが『シックスセンス』を観終わったあとの仕掛けに気づかされた際には思わず笑ってしまったね。そんな読後の余韻だったかな。

映画では少年の更生というか母ともよりがもどり一件落着よかったねとおしまいかと思いきやの作品全体に仕掛けがあったとラストで示される・・この本でいうと宗教団体による継承問題でガンジー先生によって解決されたと思いきやの本全体に最初から張り巡らされていたトリックというのか仕掛けに、映画だったらもう一度と観直したりもするが、この本では(読んだ人皆やるように)パラパラと読み返したり(見返したり?)と。

・・仕掛け、トリックの驚愕、仰天度合いでいえば名作「アクロイド」や「十角館」ほどの後年にも脳裡に刻まれるようなぶっ飛びは無かったが、著者による労力を思うと、いやはや、並な作品ではないなぁと(電子ではなく紙媒体という本ならではの読後の)至福を得たかな。

・・この本に続き他のシリーズ作品『生者と死者』『ヨギガンジーの妖術』も買って読んでみることにする。