(映画パンフレット)(原作松本清張作品)『顔(松竹ウィークリー)』

  松本清張原作小説を映画化(初の長編映画化)、井手雅人脚本、大曽根辰保監督作品『顔』(1957)松竹ウィークリー版パンフ

  英題「FACE」

 (出演)大木実、岡田茉莉子、笠智衆、山内明、森美樹、宮城千賀子、

 (音楽)黛敏郎

 ~原作での主人公(男性俳優)から映画では女性のファッションモデルに変更~

・・まずパンフから。こちらは別バージョン(松竹中央劇場)とはちがい同時上映作品の下となってる。レイアウト構成の段階で関わった人によって上下によるメイン・同時上映と判断したんだろうか。

・・そして本編を鑑賞。まず最後まで観て、なにがスリラーだったかって、目を見開く岡田さんの顔が怖い。共演の大木さんは同じく清張映画の傑作『張込み』での刑事とは真逆な汚れ役というのか、先に『張込み』を観てのこちらの作品だったんで役とはいえ堕落ぶりに(しかも可哀そうな死まで)気の毒に思えて。笠さんの長谷川刑事ぶりには『点と線』での鳥飼刑事を思わせられる穏やかだが常に疑問をもつ執念深いキャラにもみえたかな。

個人的には特に印象に残ったオープニングとエンディングから、まず列車のシーンから始まるというその後の清張映画でもあるくだりからだが、走る列車から飛び降りた男から(初見時はホントにスタントマンでも使ったのかどうやって撮ったんだとビックリしたが後年DVDでスローにして観てると手前に立つ駅員の死角となった背中向うにスタンバってたんじゃと推測するが)殺人シーンにいたるまでヒッチコック映画(疑惑の影など)タッチにも思うたりと。ラストも砂の器同様見届ける二人の刑事と犯人とのシャレたフィルムノワールを感じたものにも。

・・プログラムピクチャーとはいえ犯人確保に向かう長谷川刑事(笠さん)のポツリポツリ云う台詞が重く響いた。記録として書かざるを得ない。グッと刺さった。

「・・東京には色のついた明かりが多すぎるよ・・色のある方に値打ちあるとおもったのかな?・・(劇中の主要キャラの)4人とも東京の色のついた明かりの方にみんな命懸けで懸けたんだね・・可哀そうな奴が霧の中をさまよっているんだね・・」