(映画パンフレット)『ブラック・クランズマン』

 スパイク・リー監督作品『ブラック・クランズマン』(2018)

 原題「BLACK k KLANSMAN」 

 第71回カンヌ国際映画祭グランプリ  アカデミー賞脚色賞受賞

1978年から79年にかけて刑事だったロン・ストールワースの回顧録原作を映画化。

 (出演)ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライヴァー、ローラ・ハリアー、トファー・グレイス、アレック・ボールドウィン、ハリー・ベラフォンテ、

 

 ・・もう、何と云っても監督の心の奥底から吹き上がる憤懣、怒り、嘆き、ユーモア、がスクリーンからプンプン匂ってくる。K.K.K、風と共に去りぬ、国民の創生、トランプ大統領などへの反感や批判。「マルコムX」を観た時よりも圧を感じたね。実際にあったことの半分ほどを映画にしたことから、「ミシシッピ・バーニング」と「ミュンヘン」と「アルゴ」を足したようなものだったかな?とはいえスパイク・リーという作家性の強い監督(アメリカの熊井啓こと社会派)による2018年版のまさしくブラックスプロイテーション映画。確かに面白かったけどそれ以上に力強く心に刺さるもの(ガツン!ときた)があったね。

70年代ヒット映画談義やみんなでソウルミュージックにあわせて歌い踊る場面は懐かしさなどあったりと観てるこちらも心躍ったね(それからたまにyou tubeなどでToo late to turn back nowを聴いたりしてる)。
とはいえ、ハリー・ベラフォンテの語る実際に起きた事件(初めて知った)のことや、ラストに流れる実録映像にはさすがに凍ってしまったね。

・・名作だと云われる「国民の創生」に対する捉え方もこの映画を観てちょっと変わったということと、逆にその映画のつくられた1910年代からアメリカはちっとも変っていないということ・・いろいろ考えさせられたものがあったかな・・。

・・と云うかね、この映画の影響で「名作とは・・」って思うようになったね。世間一般に云われる名作と自分が思う名作は違うもんだとね。これは映画であれ小説であれ絵画であれ、なんだってそうだよね。

自分にとっては『風と共に去りぬ』やダヴィンチの『モナリザ』がはたして名作なのか?と。世間では知られてなくとも(たとえ三流であっても)自分にとって傑作であったり心に刺さったりしたものがまさに名作なんだとね。そんなことこの映画から思わされたなぁ。