(映画パンフレット)『フレンチ・コネクション』

  ロビン・ムーア原作小説(実在の事件がモデル)を映画化、ウィリアム・フリードキン(初長編作品)監督作品『フレンチ・コネクション』(1971)

  原題「The French Connection」

 (出演)ジーン・ハックマン、ロイ・シェイダー、フェルナンド・レイ、トニー・ロー・ビアンコ、

 (音楽)ドン・エリス

  ~第44回(1972)アカデミー賞、作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、編集賞の5部門を受賞~

・・『ジャッカルの日』や『ゴッドファーザー』などを思わせられたドキュメンタリータッチ(カメラの前で芝居してたように観えなかった感)の、追って追って駆けて車で追って撒かれて見失ってのあっという間の100分間。

 オープニングタイトルからの不協和音というのか乱雑なスコアからもぅこの映画の世界にハマり込んでしまう。

 舞台のニューヨークの当時の喧騒ぶりは他作品『タクシードライバー』や『黒いジャガー』をも思わせられる、昼も夜も治安のよくない世界に、ひときわチラリ目立ったパンナムビル(ウルトラファンの聖地こと)。

 この映画、バディムービー(熱血刑事)としてのはしりかな。一匹狼ポパイ鬼刑事の執拗な犯人(シャルニエ)逮捕までの執念。圧巻は有名な高架下での車による追跡(『ブリット』にも引けを取らない)もあろうが、地下鉄での乗る乗らないもいい。ポスターやパンフにも載せられたりしてるスチール(駅での殺し屋射殺カット)が本編とスチールが(角度が)逆だね。

(映画パンフレット)『殺されたスチュワーデス 白か黒か』

  猪俣勝人脚本、監督作品『殺されたスチュワーデス 白か黒か』(1959)

 (出演)久保菜穂子、田宮二郎、左幸子、根上淳、笠智衆、ベルナール・ヴァーレ、市田ひろみ、山田百合子、織田政雄、殿山泰司、十朱久雄、

 (音楽)伊福部昭

・・特集上映のチラシを手にとって見て、その中でのタイトルを見て初めて映画の存在を知った。まさしくスチュワーデスの殺人事件となると松本清張原作『黒い福音』(かれこれ原作を読んでもぅ30年は経ったろうなぁ)のまだ観ていない知ってもいなかった幻の映画かと思いきや、説明のどこにも清張の文字は無いし、原作(脚本)、監督の猪俣勝人作品となってる。これは是非観てみたいと・・いやぁ、シネマヴェーラの良いとこはホントにソフト化されてない、こういう映画館でしか観ることのできない幻の作品などに巡りあえるのが何より映画好きにとって嬉しいもんがあるね。前回ここで観たのはたしか栗田勇原作の『愛奴』だったんじゃないかな。まず映画の善し悪し以前にこういった昔の云い方でいうとこの名画座っぽい上映館があるのがいい。

・・謎の残る実録昭和史のなかでの女性被害のセンセーショナルと話題となった事件、「東電OL殺人事件」とならぶように思いおこされるもうひとつの事件を基とされた今作。映画の冒頭での監督からの但し書きで「これは実話ではなく・・」とあっての本編の始まりだったが歴然と清張原作でもあったように1959(昭和34年)に起こったカトリック神父によるスチュワーデス殺人事件(の疑い)を基につくられた作品となってる。

 ただ・・、映像化(映画化されてたんだと)として期待して観たのだが、清張原作や論評など読んできた者(自分も)にとってこの映画はちょっと薄かったかなという感触。設定として舞台が杉並の善福寺川から中禅寺湖(日光など)に代わったのはまぁよしとして、犯行への動機が痴情によるものだけだったのが「(誤ってだとしても)なにもそれで殺すような・・」などちょっとツッコミたくなるような軽い感じに。さすがに制作された当時に遺体の体内に体液が残ってたや、密輸に絡んでたことによるもつれ(の疑い)・・まではできなかったのかと。映画観終わったあとわかった情報によると初公開当時(特に後半部分)カットされたらしいとね。それを思うと今回2時間の完全版として観られたのかなと。

 映画は音楽を伊福部昭が担当した(重厚感ある、というか重苦しい)こともあって、しかも刑事たちジャーナリストたち(新聞屋)による悲哀感もあるものから、それこそ観ながら『帝銀事件 死刑囚』っぽいかんじにも観えたりしたね。

・・俳優陣としてはヒロインのはじめて知った久保菜穂子さん、チャキチャキと若く溌剌としてた田宮二郎さんはちょっとさておいて、(個人的バイプレーヤー好き)自分としては、今作では意外と出番の多かった殿山泰司さんと、やっぱりお気に入り俳優のひとり織田政雄さん、あと忘れちゃいけない笠さんの芝居を観るだけで満足だったね。左さんの出番もちょっと少なく思ったね(まだバイプレーヤーの頃?)。他作でもよく見かけられるような取っ組み合いもあったり。