(映画パンフレット)『首』

  東宝、KADOKAWA製作、北野武原作、脚本、編集、監督作品『首』(2023)

  英題「KUBI」

 (出演)ビートたけし、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋、木村祐一、遠藤憲一、勝村政信、寺島進、桐谷健太、六平直政、

 (衣装デザイナー)黒澤和子

 (特殊メイク)江川悦子

 (音楽)岩代太郎

・・12月1日の映画の日に1000円で鑑賞。ちなみにパンフは990円。日頃思うパンフもふつうに高くなったなぁと。鑑賞料金とおんなじじゃないかと。

パンフは昨今流行りだろうかのシンプルな文字だけパターン。いいんだけど今回の表紙のデザイン(首の字)を裏にして中開きのスチールやポスターなどの集合写真を単純に表紙にもってきても良かったんじゃないかなと。

・・戦国時代における男色要素(御法度)取り入れたアウトレイジだったかなと捉え。

まずなによりのっけからの久石さんのスコアととに浮き上がるオフィス北野がなかったことになにか寂しさを感じずにはいられなかったね。

・・これまで『その男』から必ず劇場へ観にいくほど北野映画を観る愉しみは他の監督にはない独特の間と編集時の絵柄や登場人物らによるやはり独特な言動を観たいがため、雰囲気を味わいたい為に毎度楽しみにしてるもの。毎度ご期待に添えるもの、そうではないものあれど、義務的鑑賞作品となってる。・・そして今作では・・一概に製作からしてオフィス北野がなくなり製作費も15億と多額になり規模も大きくなったからというわけじゃないが・・なにか従来の北野作品の独特さが感じられなかったような・・グロさはあれどなにか万人受けするような(毒々しさがない)ウェルメイド大作のように観ちゃったかな。もっと観客として(北野作品ファンとして)普通の時代劇には見られない本物の殺し合い、グロテスクさ、死生観など観たかったあぁ。 劇中に多くの生首も出ていたけど、やっぱり作り物としてしか見られず(生々しさや恐ろしさが感じられなかった)、合戦中などに人が死ぬ過程も西洋の銃でバァンで死ぬのと同様の刀でバッサリや弓矢でブサリで終わりだと一瞬のことで痛々しさも感じられず残酷さも恐怖感も味わう前に終わってしまう。もっとギリギリネチネチブチャブチャ時間かけた本当の意味での死闘が観たかったね(例えじゃないが『プライベート・ライアン』での描写はたしかにおぞましかったように)。だから作品全体のテンポも合戦シーンもみんなあっさりと速かった印象。大作だから良いとか金かけたらいいというよりも今回の北野大作映画を観て(どうしても比較になっちゃうが)やはり素直に衝撃受けた初期作の方が観応えあったかなと。

音楽もドッカドッカハンス・ジマーを思わせられたような大作感あったけど・・劇場去るころには頭に残ってなく『首』といえば~のイメージが残らなかったね。

・・個人的に大作感が馴染めなかったのかというとそうでないのだが、やっぱり北野作品独特の間が観たかったなぁと。大作といえば木村さん演じる弓使いが志村隆さんのように見えたり、津田さん中村さんの二人の掛け合いを見ると『隠し砦』の二人を思わせられたように(衣装デザイナーの娘も担当)やはり黒澤映画が要所ににおった感があったかなと。

・・とにかく織田役の加瀬さんによる名古屋弁は新鮮だったね。個人的にも馴染みがあるんで「決まってるガヤ~!」「やっとかめ」など、さすがにこれまでの時代劇にはなかった人物像があったね。ただアウトレイジじゃないけど騒ぎまくってる大将織田もなにかチンピラにしかみえなかったり。

・・今回作品を観たうえで改めて思ったこと・・ほんとうに人の首って(介錯同様)あんなに刀で一振りに簡単に切れるもんなのかなぁ~って。ある程度太さもあるし中には筋肉もあるし骨もある。なのにきれいにまるで包丁で野菜を切るかのように切り口キレイにスパッと切れるもんかしらとね(リアルにどうなんだろう?ってね)。そして切ったからにはそれまで血がかよってたわけだから離れた人体からや切断された首からは血や肉片もゾロゾロ出てくるであろうし・・てなこを考えると美容院での練習用人形のようじゃないが切り口もさっぱりとした、どの生首が出ようと、リアルに思えずどうしても作り物にしか見えないんだよね。三島由紀夫切腹後の写真をみたことあるけど白黒だったし詳細もわからないので(本物だったからおぞましさはあったけど)どうなのかな~って。

・・合戦といえば和の戦にたいし洋の戦として来週からリドリー・スコット監督の『ナポレオン』が公開される。こっちも大作っちゃぁ大作だがどうなんだろ?「なんだ、バリーリンドンじゃないか・・」みたいにならなきゃいいのだが(どこかで観た感なければいいんだがね)。

(映画パンフレット)『私をスキーに連れてって』

   ホイチョイ・プロダクションズ原作、一色 伸幸脚本、馬場康夫監督作品『私をスキーに連れてって』(1987)

  (出演)三上博史、原田知世、原田貴和子、沖田浩之、高橋ひとみ、布施博、鳥越マリ、田中邦衛、

  (音楽)杉山卓夫

  (主題歌)松任谷由実

・・公開当時(というか前に劇場で割引券はたしかにもらった)からたしかに映画の存在は知ってて宣伝も観たしマスコミでも流行ってると話題にもなってた。その頃も今に至ってもブームとは無縁な自分にとっては・・パスだったな。ユーミンの歌も関心なかったしね。こればっかりはショウガナイ。

 結局初めて観たのも20年30年と経ってのつい最近だったね。テレビでのトレンディードラマっていうのを感じさせられたようなキャピキャピのノリにコソバユサもたしかに感じたけど(苦手なカラーの映画だしね)、ただ面白くなくはなかったかな。ちょっと長く感じたりもしたけど終盤ラストに向けての盛り上がっていくハッピーエンドには素直に楽しめた。 これに倣ったのか、この作品以降の邦画でなんだか似たような展開(流れ)のものを度々観かけたりなどあって「なんか前にどっかで観たような・・」なんて思うこともあったりも(良い悪いではないが、『メッセンジャー』だったかな?と、『7月7日、晴れ』だったかな?などのようなトレンディーな映画の終盤への盛り上がりにはこの『私を~』以降の邦画には度々観られるような印象が・・と、個人的捉え。

・・原田さんは(『落下する夕日』のイメージもたしかに強いせいもあるのか)やっぱり長髪よりも清潔感あるショートカットの方がいい。

・・パンフの表紙デザインはいいね。まず何よりも絵(写真)がなきゃね。あと絵だから写真だからってシュワルツェネッガー映画のような大きくひとりだけドカ~ンとあるだけの、なんの映画だかさっぱりわからんようなものじゃなくて、昔は007シリーズのようなハイライトカット散りばめたようなコラージュがあるものは(もちろん映画の内容にもよるが)ワクワクさせられるよね。・・そういった個人的には好ましいパターンがこのパンフには感じられて素直に(映画の賛否問わず)良いと思う。