(映画パンフレット)『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』

  デヴィッド・クローネンバーグ(『マップ・トゥ・ザ・スターズ』から8年経ての)脚本、監督作品『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』(2022)

  原題「Crimes of the Future」

 (出演)ヴィゴ・モーテンセン、レア・セドゥ、クリステン・スチュワート、スコット・スピードマン、

 (音楽)ハワード・ショア

・・自分にとっては毎作品楽しみにしてる(或る意味)鑑賞義務的監督作品。もう初期の頃から作品を観続けているので(免疫ついてるせいか、観る前からあまりにも刺激を求めていたか)なんの予備知識なく鑑賞。感じとすれば、『アルタードステイツ』プラス『ホステル』のような映画に思えたかな。ストーリーというよりも何でもありな設定によるパフォーマンスを観たってかんじだったね。初期の頃の『スキャナーズ』や後年の『裸のランチ』を観た時ほどの目を背けたくなるような衝撃はなかったかな。もっとグロテスクにやってほしかったなぁ。描写と云うよりも設定がインパクトだったね。

 それよりも、今回鑑賞してクローネンバーグ作品ではじめて音楽(サウンド)が気になったね。頭の中にもしっかりあれこれ残ったってかんじ。というか、音楽担当がハワード・ショアだと当然ながらオープニングタイトル知っておきながら劇中に流れるスコアなど聴いてるとなんだかクリフ・マルチネスが担当したんじゃないかって思ったね。とくに耳男の踊るくだりのビートあるものなんかは。

・・ラストカットの主人公による恍惚焦点の表情は喜び、エクスタシー、を伴なう死を意味してたような(『コズモポリス』でのラストを思わせられた)破滅のエンディングだったね。

・・自分的にはレア・セドゥはそんなに美人じゃないと思えるんだがねぇ(過去作観てても)。

(映画パンフレット)『三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜』

  豊島 圭介監督作品『三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜』(2020)

 (出演)三島由紀夫、芥正彦、木村修、橋爪大三郎、平野啓一郎、瀬戸市寂聴、

 (ナビゲーター)東出昌大

 (音楽)遠藤浩二

1969 年、5月13日、東京大学駒場キャンパス900番教室で行われた三島由紀夫と東大全共闘の討論会をTBS取材による貴重なフィルム映像

・・ひとつの生々しい昭和史をみた。

なかなか普段から観ることの無い、動いてる、笑ってる、話してる三島由紀夫の姿の見られる貴重な映像(映画)をつうじて当時のシンポジウムに自分もそこに立ち会っているかのごとく聴衆と一緒に楽しんだかな。

壇上で並べられる単語、他者、解放区、天皇、自然、事物、サルトル・・云われたことは理解できないが苦にもならなかった。各人物の言い分はどうでもいいのだ。

途中も観ながらどうなるかと冷や冷やした時も傍から見てて思ったりもしたが、エキサイトしたりもあった学生たちも手も出さず感情的(暴力沙汰)にもならず、三島氏も大人の対応に学生たちに負けじと真剣に正々堂々と(1000人を説得しようと)力説する姿に(けっきょく問題や混乱もなく)勇ましく思ったね。

パンフ内での監督のインタビューにもあるけど、今ではSNSをつうじて顔も身も明かさず隠れながら好き勝手悪口罵り合ってるが、この討論会をみるとマイク持っての正々堂々と自分の意見や主張を述べる潔さに感心がもてた。

・・映画としてでも正直NHKの特集を観た余韻だった映像記録だったが、中身の濃い、正解も間違いもない真剣でお茶らけもない真面目なエンターテイメントを観たね。