Posted on 6月 30, 2016
(映画パンフレット)『読書する女』
ミシェル・ドヴィル監督作品『読書する女』(1988年)。
・・まずタイトルがいいね。一幅の絵画の題名のようでもあるし、観る前からしてもなにかエロチックさを感じた(他作品「髪結いの亭主」と同じ匂いを感じた)。
・・主演のミュウ=ミュウ(ミウ=ミウ)。他作品「恋しくて」の時のメアリー・スチュワート・マスターソンを思わせる明るい金髪のショートカットが初々しい。また、エロチックだったことに、露骨な裸よりも下の肌がチラチラ見えるような薄いスケスケの下着姿の彼女がこれまたよりエロチックに感じた。
・・顧客のもとを訪ねる際(毎度毎度街中は誰も居なかったね)のバックの音楽が映画全体を重たくさせず、卑猥に思わせないコミカルながらのクリーンさを引き立てたんじゃないかと思う。そしてそのバックの曲・・。聴き心地よく自分は”モーツァルト調だなぁ”など映画を観ながら思ったものだが、パンフをみて大体がベートーベンだという。これにはちょっとびっくりした(予想外だったもので)。
映像としての構図となると向かい合う朗読者と客のツーショットのシンメトもけっこうあった感。
ひとつ、いただけないと思ったことは(あくまで個人的に)、ラストの主人公のセリフ時のカメラ目線が気になった(虚構である映画を観ているという緊張感が一瞬で覚めてしまうような、引いてしまうような)。
・・この物語の設定としては今の日本ではまず危なっかしくてあり得ないような職業とシチュエーションじゃないかな。映画でもついには”朗読”とは名ばかりの便利屋、デリxxのようにもなってしまったような・・。
他のキャストとして観ててハッと目に留まった人がひとり、劇中での病院の看護婦さん(あのお人形さんのようなクリクリ顔が特徴)。あれ?どっかで観た覚えが・・と思って後で知らべると、やはりだ、「パルプ・フィクション」のファビアンだったね。
・・映画では自分も読んだことあるデュラスからサドの一節などあったりして本好きにはクスッとさせられたりも。
・・とにかくソフトな品のあるエロチックな映画で、個人的ツボにはまるジャンルの作品でもある。