Posted on 2月 4, 2017
(映画パンフレット)『雨月物語』
上田秋成原作、溝口健二監督作品『雨月物語』(1953)。
・・映画(作品)によっては年を重ねて観る度に観方、感じ方、捉え方、恐怖度、悲しい度など変わるものもあるもので、この映画もそのひとつで、捉え方(受け方)が変わった映画だったろうか。
・・初めて観たとき(十代?二十代だったかな?)は、素直に作品の幻想さ、妖艶さ、幽玄さにエロチックに怖く息をのむような美的映像に堪能し、役者の注目具合には京マチ子に惹かれたものだったが、年月経って再び鑑賞すると・・なんと痛々しい映画なこと。役者でも普通の幸せをのぞむ田中絹代さんの方に注目したものだった。田中さん演ずる奥さん(宮木)の云うひとことひとことの言葉の何と普通でありがたい言葉なこと。そして(男たちをメインとして)金、出世、色になんと人間は溺れていく愚かなモロい生き物なことか。
だからこそなのか、人間として世界共通のものを描いたということでヴェネチア映画祭にも受け入られたのだろう・・か?
・・反面教師じゃないけど痛切な風刺映画として、自分も分相応(身の丈にあった)暮らしを送っていくべきものだと改めて感じたりしたかな。