(映画パンフレット)『乙女の祈り』

  1954年にニュージーランドで起きた実際の事件(アン・ペリー殺人事件)を基に映画化。ベネチア映画祭銀獅子賞、ピーター・ジャクソン製作、脚本監督作品『乙女の祈り』(1994)

  原題「Heavenly Creatures」

 (出演)メラニー・リンスキー 、ケイト・ウィンスレット、

 (音楽)ピーター・ダゼント

・・邦題のタイトルからまず思いつくのはパダジェフスカの甘いメロディーが、そしてパンフ表紙絵を見るに『桜の園』の世界のような少女らによる甘美なモノかと予備知識なく想像しつつ鑑賞。

 冒頭からいきなり怒涛のごとく始まる甘美とは真逆なヒリヒリハラハラの緊張続く展開(やはり実録モノ『フォックスキャッチャー』『ワンスアポンアタイムインハリウッド』のようなかんじ)。犯行場面しかりその日の朝からのピクニックへ行く時点からいやぁ~な重たい雰囲気がいい。

 単なる事件の再現だけかと思いきや、さすがピーター・ジャクソン、ファンタジーCG処理や『第三の男』オマージュなんかのダークさも。

 ただ、この映画を観るに至った直近に観た映画『小さな悪の華』(こちらはフィクションだがね)に比べたらさすがにショッキングさ、タブー、露出度、センセーショナルにはね。この映画は強烈だった。その20年ほどまえにつくられた映画とこの映画に似た共通なものを感じるんだが・・じっさいパンフのなかの解説やエッセイを読んでても一行も(誰も)『小さな~』を引き合いに出してる人がいない。関連性を感じなかったのかな?それともこのカルト的『小さな~』のことを知らなかったのかな?

・・50年代も21世紀になってもどこの国でも同じような悩み、葛藤、問題などあるもんだねと、同性愛を「不健康」だもんね。