(映画パンフレット)『市子』

 劇団「チーズtheater」主宰戸田彬弘による舞台劇「川辺市子のために」を映画化、脚本、監督作品『市子』(2023)

  英題「ICHIKO」

 (出演)杉咲花、若葉竜也、森永悠希、倉悠貴、中田青渚、石川瑠華、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり、大浦千佳、

 (音楽)茂野雅道

・・大谷翔平選手がドジャースで10年1000億円の契約をと世間では騒がれてるなかでの、この作品の世界のようにかたやつつましく貧しい生活を過ごす市井人の悲喜こもごもを自分もお金を払って劇場での鑑賞。

・・まさに杉咲花のための映画だったと言わざるを得ない。且つ、シアーシャ・ローナンの『追憶』、『桐島部活やめるってよ』要素も思わせたミステリー。

 最後まで通して観たからではなく、冒頭の波打ち寄せるとこからなにか嫌な雰囲気を感じながら回想での家族の団欒カットにグッときたりなど主演市子の生きざまにガツン!よりもドォ~ンと重たさを感じたかな。

・・ただ、最初から最後まで絶賛の嵐、傑作、衝撃作だったかと云うと・・(観たその日はたしかに凄い映画を観たなと思ったけど)一日経って映画を思い直すと、ん?という疑問やどうだったのか?ということも。

 あちこち時系列を表すなら右下の期日表示をあえて無しにしてもっと混乱させてもよかったんじゃないかなど思ったり。

 そもそも設定的にプロポーズした翌日の失踪の謎はいいとしても、よくよく聞いてみると3年もの付き合いにも関わらずなんにも彼女のことを知らなかった・・これを現実的に考えるとそれはちょっと無いんじゃないか、無理があるんじゃないか?など思ったり。劇中の主人公の施した行動も急に思いついたような咄嗟のようにみられて(何年も真面目に取り組みながらも)・・なにか人間性を失った悪女のようにも感じたりなど。なにかシックリこなかったというかモヤモヤ感が。

・・とはいえ、さすが主演の杉咲花という今作においての演技っぷりにはこの間観た『山女』の山田杏奈とならんで放ってはおけない(映画の内容もあるのだが)注目すべき現在の女優ではあろうなぁ。・・大御所だから、キャリアが長いから、美人だからじゃ飽きられ脳裏にも残らなくな昨今の映画界、芸能界じゃぁ映画じたいも最初から観る気が無いしね。