Updated on 2月 4, 2023
(映画パンフレット)(原作松本清張作品)『けものみち』
松本清張原作小説を映画化、須川栄三脚色、監督作品『けものみち』(1965)プレスシート
(出演)池内淳子、池部良、小沢栄太郎、伊藤雄之助、他
(音楽)武満徹
・・もしかしたらこの作品(原作からして)一番清張作品らしいのではと思う。個人的には原作も映画も(順序じゃないが)全清張作品のなかでまず筆頭に挙げられる作品のひとつと捉えてる。
映画を観るずっと昔に既にページ数のけっこうある原作文庫本もワクワクしながら読んだものだった。全然長いとも感じなかったねぇ。
ドロドロした人間関係や市井の人間の眼の届くことのない裏(闇)社会の世界での恐怖など詰まりに詰まった作品。いろいろあった末での主人公に降りかかるアンハッピーエンディング(突然ショッキングに終わる展開)もいかにもな清張作品らしい。
だいたいモノクロ映像がいいじゃないかね。秀逸なのはタイトルシークエンスからなにかドロドロ蠢く人間模様の物語が始まるぞって云う感じがモロにある。空撮からの画面中央からどす黒いシミのようなものが(毎度観るたびソール・バスデザインの『めまい』でのタイトルシークエンスでの渦が連想される)浮かび上がり毛筆体のような書体でのタイトル、そして武満さんのスコアの拍子木らしい音がかぶったなかでの滴る水滴、
キャスティングに関しては比べての優劣をつけるわけではなくとも、NHK版の民子役の名取さんや小滝役の山崎さんよりもこちらの映画版(池内さん小沢さん池部さん)の方がやっぱりいいね。
武満さんのスコアも他作品でいう「雁の寺」のような重厚感ある前衛調テイストなスコアに耳から離れられない。たまぁに観たくなる映画なんだよね。
・・清張作品の他の幾作品あるが、この作品もパンフ化されてないんじゃないかな(と、いまだに見たことない)。この映画も当時プログラムピクチャー作品のひとつとしてみられてたからかどうかは分からないが、自分だけが思うでなくたぶん清張作品の好きな人ならこの作品の大きさも判っているはず、そんな(大作ではないが)傑作にパンフレットがないとはさみしいもんがある。