(映画パンフレット)『奇麗な、悪』

  中村文則原作の短編小説「火」をもとに映画化、奥山和由脚本、監督作品『奇麗な、悪』(2025)

 (出演)瀧内公美

 (音楽)加藤万里奈

・・先月には吉田大八監督作品、筒井康隆原作映画『敵』を観て、更には来月からは浅野忠信主演の『レイブンズ』にも出演されてる瀧内公美さん・・の主演による今作、原作よりも監督よりも映画館で観るという一番の要素として演じる瀧内さん出演が『敵』に続いて劇場へ足を運ぶこととなった。公開前劇場予告の段階で相当面白そうに感じ期待も自然と膨らんでいったもんだった。ちなみに原作は読まないで映画をまず楽しもうと(よほど話的に面白かったらと・・いつものパターンかな)。

 劇場ロビーで先に(観る前に)パンフを買っておいて中へと入っていったわけだが、そのパンフの表紙絵にもパット見60年代のアーティスティックな写真集を思わせられる瀧内さんの写真と刺激、挑発感ある縦字の赤文字タイトルがまた良い。より期待を感じながら本編を鑑賞。

 率直なところ、映画を観たというより、小劇場での独り芝居を観た感じ。

 率直なところ、観終わって(その日もずっと)「ん~~」とモヤモヤに唸るのみ。

 率直なところ、惜しい、勿体ない、あっけなかった。とくべつな衝撃や驚き、演じる瀧内さんにも色気や妖艶さなど観る前に期待してた要素が感じられず(よほど期待してたってことだったのかな?)話的にも「で?」「そうなんだ~」という人の話を聞いただけのそのまんまの映画あったような。

 ・・たしかに映画を観たというより舞台芝居をみたという感じ。今作は背景(家内)つきの主人公が冷静に感情に語るのだが、なにか普通に見えてしまい、台詞が頭に入らないことはないんだが、やっぱりインパクトないものに感じたなぁ。ATG映画『音楽(三島由紀夫原作)』での黒沢のり子さんの独白時のように背景が真っ暗な方がかえって聴いてるこっちも集中できるような・・そんなことを観ながら思ったかな。

・・瀧内さんのインタビューで言及されてたみたいだけど、たしか準備期間を一年くらいかけての撮影が一日だったとか・・。予算の都合もあったかもしれないけど、もっとじっくり時間かけて撮って欲しかったなぁと。お金がかけられなかった?あんまり長回しせずカット割ったりして瀧内さんの鬼気迫る表情や意味ありげ、暗示めいた仕草、間などかけたようなものが観たかったね。自分だったらじゃなくてもね。

・・翌月には浅野忠信さんとの共演『レイブンズ』の公開予定されてる瀧内公美さん(こっちは主演じゃないけどね)。今度はどんな芝居してくれるだろうかと期待してる。