(映画パンフレット)『八月の鯨』

  リンゼイ・アンダーソン監督作品『八月の鯨』(1987)

  原題「The Whales of August」

 (出演)ベティ・デイヴィス、リリアン・ギッシュ、ヴィンセント・プライス、アン・サザーン、ハリー・ケリー・Jr、メアリー・スティーンバージェン、

 (音楽)アラン・プライス

・・最近になって、とくに『ライアンの娘』『ストーカー(タルコフスキー)』を観て以来なんだかこれまでやみくもに観てた(常に観たいと思ってた)映画からなにか絞ると云うのか、中毒性が薄れたと云うのか、劇場で新作映画があれこれ公開されても心から観たいという欲が薄れ潜在意識からなのか直感で観たいと思う映画いがいトンと数が減ってる頃、先に買ってたパンフもあって(2人の名女優の共演となればやはり興味も湧く)まったく予備知識持たず鑑賞。けっきょく観終わってからも主演の二人も普通のどこにでもいるおばあさんにみえて、よけいな風格やオーラも見られない演技ぶりに癒された。

・・イメージよりもはるかにのんびりとホッコリした、なんの事件も起きない、スペクタルない、田舎のどこにでも居るような老人たちによる映画。・・ただそれが良かった。観ながら『ドライビング・ミス・デイジー』や『午後の遺言状』なんかが重なったり、お昼のお茶やたわいのないお話しなんか観てると絵本作家ターシャ・デューダさんなんかもかさなったりした。

・・勿論、癒されたりした俳優陣も良かったが(とくに亡き夫の遺髪を顔にあてながら自らを慰めてた姉にたいして客迎えてのディナーにむけてちょっとしたお化粧を施しテーブルセットする妹なんか、あと、のちにパンフでも確認できたがスティーンバージェンさんも出演ときた)、『ライアン』を観てからそんなに時間も経ってないこともあったか、アイルランドの絶景にたいして、こちらはアメリカのメイン州の静かな波のうち寄すこれまた自然豊かな景色に観てるこちらも癒された。

・・これまでやみくもにというわけではなくとも、本当に観たいのかどうなのかわからないまま数々の映画を観てきたのにたいして、なんだか最近では未だ『トップガン マーベリック』バーホベン監督の『ベネデッタ』、あとアカデミー賞からみの『フェイブルマン』『エブ・エブ』ももっぱらパスしがち。・・と、そんななか観たこの映画。