(映画パンフレット)『11人いる!』

  1976年、第21回小学館漫画大賞受賞作、『別冊少女コミック』連載(1975年9月~11月)作品、萩尾望都原作漫画を映画化。出崎哲、冨永恒雄監督作品『11人いる!』(1986)

  英題「THEY WERE ELEVEN」

 (声の出演)神谷明、河合美智子、田中秀幸、古川登志夫、玄田哲章、 鈴置洋孝、他

 (主題歌)「僕のオネスティ」川上進一郎

・・漫画家萩尾望都関連というとだいぶ昔に観た『時の旅人』以来じゃないかな。原作が発表されて何十年と経った今になっての(どういうキッカケで原作や映画を読みたく観たくなったかは忘れた)初めての萩尾作品にふれる。

・・大抵というと語弊があるが、大概、小説や漫画の映画化など観ると原作には劣ったりなど消化不良など残したりもあるが、この作品に関してはアニメ化した90分とコンパクトにまとめられた作品を観て素直によかったと。全編原作どおりで先に漫画を読んでの鑑賞だったんで展開もわかりやすくミステリーや謎も判ってのうえでだったんだが、主題歌共々原作でうけた面白さを越えたんじゃなかったかなと。

・・何はともあれ、1986年の作品ということもあってか、映画全編のいろ(におい)として、いかにもな80年代っぽい感じに懐かしいなぁと。主題歌もまさにあの当時らしいメロディーや曲調に個人的にもツボにはまったかと。

・・原作を読んだ時には感じなかったが、映画を観てて、近年違う作品に近いものが感じられるなぁと思いにふける・・近いか近くないかは兎も角、或る一定の期間、限定された空間内で、複数の者たちによる協力や疑心暗鬼のなかでの犯人捜しというのか、ミステリー要素を思うと・・そうだと、たしか去年話題になったからと読んだミステリー小説「方舟」(夕木春央著)が観ながらよぎった。「方舟」は一般の地球人による話だったが、こちらはと云うと、宇宙にまたがるスケールということで登場する人物というのか者たちはそれぞれの星から来たスターシードを思わせられたかな(個人的捉え)。

・・じゃあ、全部が全部良かったかというと・・たぶん自分以外の多くの人も思ったことだろう、話題性をこめてのキャスティングだったのか、ほとんどを占める豪華な声優陣のなか、河合美智子さんに対してはもうちょっとなんとかならなかったのかな?と。他の登場人物らの真剣なやり取りの中での河合さん演じるフロルが出ると台詞も頭に入ってこない。キャラクターの絵が可愛らしいだけあって残念に思われた。さすがに「バキューン!」には失笑してしまったね。

・・今回どういう成り行きで原作「11人いる!」から映画化された作品を観たくなったかは、萩尾望都作品にふれようとしたというよりも単独でタイトルから大まかに知ったミステリーということで、より萩尾作品のなかでも知られた(有名な?)「ポーの一族」や「トーマの心臓」の方はまだとくに読みたいという気はないかな。