(映画パンフレット)『敵』

  筒井康隆原作小説(未読)を映画化、吉田大八脚本、監督作品『敵』(2025)

  英題「ENERMY」

 (出演)長塚京三、瀧内公美、河合優実、黒沢あすか、中島歩、カトウシンスケ、髙畑遊、二瓶鮫一、

 (音楽)千葉広樹

・・面白かった。率直な感想として、どこからどこまでが現実で夢で実像で虚像で妄想で本当で嘘で・・などじゃなくて、この作品すべてが夢(の一環)かと、決めつけられないと思ったね。

・・個人的、この映画を観る動機(観てみようとする意志)で一番大きかったのは原作者(原作)でもなく、監督作でという贔屓眼でもなく率直、瀧内公美さんの出演(必ず観るような追っかけではないが気になって数年経つ女優なので)。いやぁ~やっぱり良かったね。惹きつけられる。あぁやって年とっても翻弄されたいね。 まもなく上映される『奇麗な、悪』が楽しみだ。

 ポコン!と一秒にも満たないようなラストカットを観て・・、「え?!シャイニング?」(もしくは「アザーズ?」)

 映画でのクライマックスにいたる盛り上がり具合(ぶっ飛びシーン)として吉田監督作品でもこれまで観てきた『桐島~』や『美しい~』などが脳裏に浮かぶようなハッチャけたインパクトあるものとかさねたりすると、最後の北からやってくるものに対する繰りひろげはもうちょっとやって欲しかったかなと。

・・映画を観て(原作は未読なので原作の方はわからないが)去年に「月と六ペンス」など読んだりしたサマセット・モームの「雨」なんかを思いついたりしたね。「雨」での登場人物のひとり聖職者による性欲との葛藤ぶり(性欲と聖職のはざまで)が今作の主人公(反俗人というのか家のなかにテレビが置いてなかったね)とかさなったりしたかな。

・・この映画を観たことによって(初めて)筒井康隆原作モノをいくつか読んでみようか(みたいな)と影響されたかな。映画のこともあってか、NHK「100分de名著」でも特集されてたし。安部公房、小松左京に続いてまた積読が増えるかな?

(映画パンフレット)『天河伝説殺人事件』

  角川映画15周年記念作品、内田康夫原作推理小説を映画化、角川春樹製作、市川崑監督作品『天河伝説殺人事件』(1991)

 (出演)榎木孝明、岸惠子、財前直見、日下武史、岸田今日子、山口粧太、神山繁、岸部一徳、大滝秀治、加藤武、常田富士夫、石坂浩二、伊東四朗、

 (音楽)宮下 富実夫

  *浅見光彦・・フリーのルポライター。(役者的にはテレビ版の辰巳さんよりもじっさい作家の内田さんにも少し風貌が似てるんじゃないかと思われる榎戸さんの方がシックリくるような)

・・横溝正史シリーズから今度は(原作を一冊も読んだことなかったが)内田康夫ミステリーシリーズによる市川崑監督作品が観られるのかなと公開してまもなく観に行ったもんだったね。ラストカットでもFILEなどの字幕表記もあったりして続くのかなと思いきやの、これ一作のみになってしまったね。設定舞台が昭和初期のおどろおどろしさの残る時代から主人公自身の移動時にはマイカーを使うなどの現代へと時代も変わると、ショッキングもグロテスクもなく全編クリーンな感じで(スコアからジャズ調?)石坂金田一シリーズに比べると物足りなさも否めなかったね。とはいえ、サービスなのか(新旧交代の意として?)新の榎戸さんと旧の石坂さんんが兄弟役とはとクスリと微笑ましい設定にはこちらも喜んでしまった。

 エンドクレジットのない「完」エンディングには現代映画としては珍しいものがあったね。だからか、スタッフや出演者をのちにパンフで確認したりと。

 音楽担当に自分もCDも買ったりもしたヒーリングミュージックの宮下さんが担当したとはあとで知ってちょっとビックリ。

 あと、全然驚きはしないが、出演者に岸さんが出れば、金田一シリーズに同じく犯人しかないでしょ。なぜ今回もキャスティングしたんだろうと。