(映画パンフレット)『メビウス』

     キム・ギドク脚本・撮影・編集・監督作品『メビウス』(2014)

  英題「MOEBIUS」

 (出演)チョ・ジェヒョン「悪い男」、イ・ウヌ「The net 網に囚われた男」

・・全編観てて観心地悪いし、不愉快だし、一言のセリフのない(聾者による芝居とは違い)変ぶりと、挑発と狂気の立て続く性器ファンタジー(寓話ともとれる)に、さすがギドク監督世界にもう一度観たくなる中毒性にも。

観終わってパンフみるまでイ・ウヌさん(西田尚美さん似と思った)の一人二役だったとは全然気づかなかったなぁ。特に愛人役の雑貨商の女はいかにもつげ義春さんの漫画にも出てきそうな欲求も溜まっていそうな女ぶりの挑発ぐあいが良いね。

ギドク監督作品は(自分にとって)一種の麻薬のようなもの。映画から教訓を得る為でもなく、涙さそう感動を求めるでもない90分間のめくるめく刺激的トリップ世界に浸るようなもの。「家族とは・・性とは・・快楽とは・・」などそんなことは二の次で監督の頭に描きたかった夢のような世界に観客としての自分もただ浸りたいだけなんだよねぇ。そんな自分もやっぱり、ただただ変態なのかもしれない。

(映画パンフレット)『ギルティ』

デンマーク映画。グスタフ・モーラー監督作品『ギルティ』(2019)

原題「DEN SKYLDIGE」

新感覚、ワンシチュエーション、リアルタイム進行映画。

・・あまりにもネット宣伝からチラシやらで大絶賛されてるので、どんな仕掛けが待っているやらを期待していざ鑑賞。

発想的にテクニカル的にはたしかに面白く観たけど、取り立てて衝撃は思ったよりは無かったなぁ。まだオリバー・ストーン監督作の『トーク・レディオ』を観た時の衝撃具合に比べればちょっと足りなく思ったかな。

リアルに映画を観てたので、まず酔った人間が緊急通話の番号をちゃんと掛けられるか?・・や、全編丁寧にヘッドフォンから聞こえてくるドアを開ける音から歩く音からをこちらも一緒に聞いてると、ちくいち向こう側の持ってるであろう携帯からの音がなんだかPOV映画でのやたらに映像として撮るご都合主義っぽさもちょっとニオイわざとらしい部分も無くはなかった。そこまで主人公と一緒に入り込めなかったなぁ。

最後に主人公が掛けた電話の相手は誰だったのかな?(ネタバレになるか)自分はてっきり奥さんに今世の別れの挨拶かと思ったんだけど・・。まぁ、正解も不正解もないし。