Posted on 6月 29, 2025
(映画パンフレット)『メガロポリス』
構想40年、フランシス・フォード・コッポラ製作、脚本、監督作品『メガロポリス』(2024)
原題「Megalopolis」
(出演)アダム・ドライバー、ジャンカルロ・エスポジート、ナタリー・エマニュエル、オーブリー・プラザ、シャイア・ラブーフ、ジョン・ヴォイト、ローレンス・フィッシュバーン、ダスティン・ホフマン、
・・昨年からコッポラ監督の新作ということで待ちに待ってた公開。公開前劇場予告を観ただけのイメージとしては『未来は今』や『クラウドアトラス』っぽい近未来F群像モノかなと胸膨らませた。そして期待にワクワクしながらいざ上映館へ(ちなみに昨年から観たい観たいと待ってた作品は他にも『スキナマリンク』があった)。ここんとこの流れというものがあったんだろうか、先日久しぶりに観た『タイムマシン(1960)』から今作へとつながりや流れがあるのかと思われたほどの近未来SFユートピアディストピアものという共通点などあったりなど。
・・まさに一言で云えば豪華絢爛絵巻物といったとこかな。映画が終わった直後いろんな意味で苦笑してしまった。哲学的台詞もあったりなど目くるめく展開が激しかったが観ながら(面白い面白くない、ストーリーを追うのをやめて)豪華な絵巻物を観るように映像美を楽しんだね。同じような感覚でいえば、初めて『去年マリエンバートで』を観た時もとにかく設定やストーリーよりも展開されてるのを楽しんだ感覚に似た感じ。
・・このトーン(近未来SFもの)でローレンス・フィッシュバーンさんが出てると『マトリックスシリーズ』のモービアスなんかを連想したり。メガロンという重要な物質は『砂の惑星』でのメレンジを連想。
・・全世界的興行的に惨敗しランズベリー賞にもいろいろノミネートされてるらしいが、そんなのどうだっていいよね、この作品に関しては監督はエンタメ性(観る客に対して楽しませるような)を重視したというよりも前々からホントに作りたかった(たとえ受け手がどう捉えようがいいと思った?)モノを撮ったんだなと感じたね。だからこそ作家性があるとも観られたんだね。
・・パンフのデザインに関しては(よくありがちなパターンのひとつ、登場人物たちの整った配置など)ありきたりで面白味がないね。タイトルにもあるとおり都市(街)がメインだと捉えると、その風景とその上にかぶさるように絢爛スナップ(ムーランルージュのような)を2つ3つ重ねたりなど個人的にはそっちの方が「メガロポリス」という「メトロポリス」っぽい感じでいいんじゃないかなと思ったんだがね。
Posted on 6月 29, 2025
(映画パンフレット)『敵』
筒井康隆原作小説(未読)を映画化、吉田大八脚本、監督作品『敵』(2025)
英題「ENERMY」
(出演)長塚京三、瀧内公美、河合優実、黒沢あすか、中島歩、カトウシンスケ、髙畑遊、二瓶鮫一、
(音楽)千葉広樹
・・面白かった。率直な感想として、どこからどこまでが現実で夢で実像で虚像で妄想で本当で嘘で・・などじゃなくて、この作品すべてが夢(の一環)かと、決めつけられないと思ったね。
・・個人的、この映画を観る動機(観てみようとする意志)で一番大きかったのは原作者(原作)でもなく、監督作でという贔屓眼でもなく率直、瀧内公美さんの出演(必ず観るような追っかけではないが気になって数年経つ女優なので)。いやぁ~やっぱり良かったね。惹きつけられる。あぁやって年とっても翻弄されたいね。 まもなく上映される『奇麗な、悪』が楽しみだ。
ポコン!と一秒にも満たないようなラストカットを観て・・、「え?!シャイニング?」(もしくは「アザーズ?」)
映画でのクライマックスにいたる盛り上がり具合(ぶっ飛びシーン)として吉田監督作品でもこれまで観てきた『桐島~』や『美しい~』などが脳裏に浮かぶようなハッチャけたインパクトあるものとかさねたりすると、最後の北からやってくるものに対する繰りひろげはもうちょっとやって欲しかったかなと。
・・映画を観て(原作は未読なので原作の方はわからないが)去年に「月と六ペンス」など読んだりしたサマセット・モームの「雨」なんかを思いついたりしたね。「雨」での登場人物のひとり聖職者による性欲との葛藤ぶり(性欲と聖職のはざまで)が今作の主人公(反俗人というのか家のなかにテレビが置いてなかったね)とかさなったりしたかな。
・・この映画を観たことによって(初めて)筒井康隆原作モノをいくつか読んでみようか(みたいな)と影響されたかな。映画のこともあってか、NHK「100分de名著」でも特集されてたし。安部公房、小松左京に続いてまた積読が増えるかな?