(小説・エッセイ)『いつか汽笛を鳴らして』

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 第67回芥川賞作品、畑山博著『いつか汽笛を鳴らして』(1972年)文春文庫。

・・主人公の青年の上唇(兎口)の劣等感導入部から三島由紀夫の「金閣寺」(主人公のドモリ)を思わせる展開と、決して裕福でない市井の世界に(と、”朝鮮人”という差別も含めたものもあり・・そこは井上光晴調?な臭いが感じられ)読みながらATG映画を観ているようなそんな読み心地だった。

・・咸勝義の妹仁子と、新子のはざまに揺れ動きながらも煮え切らない主人公の言動に少々こちらも悶々状態。

・・畑山氏と作品に関してはビデオで昔録画した宮澤賢治の番組でのテレビ解説される言動や、先に読んだ「教師宮澤賢治のしごと」「わが心の宮澤賢治」などでの文面(云いまわし)、内容等と比べると初期作品としての代表作であり芥川賞作であるこの作品、たしかに孤独な暗い世界観は好きなのだけれどページをめくり返し、二、三度読み直したりなど、ちょっと(トッツキ的に)難しかったなぁ。

もう一度最初から読み返して初めて深い意味が噛みしめられるかも・・。

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