(小説・エッセイ)『母を拭く夜』

母を拭く夜1母を拭く夜2

 芥川賞作『いつか汽笛を鳴らして』に続いて読んだ、畑山博著『母を拭く夜』(1972年)懇談社文庫。

・・まず題名が良い(昔から古書店などでの棚でちょくちょく背表紙を見かけ気にはなっていた)。『いつか~』のすぐ後に続けて読んだのだが、同じく全体に流れるトーンが重く暗く弱者を主人公の著者の実体験らしい(体の不自由さから汚物を雪の積もる外へ捨てるくだりは本当らしい)生々しさありきの刺々しい作品だった。

・・ラストにいたってはウルッとしてしまった。もう自分の母親も(さすがに実の母)高齢となっており、いつかは病に倒れることもあろう。貯蓄(金)のことはいいのだが、自分や兄弟の残したものを大事に保管する母ならではの行いに本を読みながら自分の母と重なるものがあり感動に涙する。

・・ただ、『いつか~』の時のブログにも書いたのだが、畑山作品は一度読んだだけでは味わいもまだまだ半分くらいではないかと今回も感じた。自分は字づらを目で追ってはたして内容が判っているのか?、著者の描きたかった悲しみ、嘆き、苦しみ、叫びがまだまだ判っていないのではないか?と思ったり・・。もう二度三度読まなければと感じたりと。

・・短編だからと云って舐めちゃいけない。畑山作品おそるべし。

次作読む予定は映画化もされた『海に降る雪』を読もうかと思う。こちらはより現代の設定なのでなんとか着いてこれればいいがと思うのだが・・。

・・ちなみに昨日には古書店で同作者の『銀河鉄道 魂への旅』(PHP研究所)を購入。畑山作品の中ではもはや”銀鉄”は無くてはならない存在。

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