Posted on 12月 3, 2016
(小説・エッセイ)『コンビニ人間』
第155回芥川賞作品、村田沙耶香著『コンビニ人間』(2016)文芸春秋。
・・率直な感想として、以前、先に「授乳」や「殺人出産」を読んでその独特な村田ワールドの読み心地のツボにハマった感触を思うとこの芥川賞作品とはいえ、内容のエゲツなさ、キツさ、グロさ、ぶっ飛びな設定を読前に期待したぶん、なにかちょっと物足りなさを感じたかな?
・・伊丹十三監督作品「スーパーの女」を思わせる冒頭からの店内あれこれや、その世界のあるあるネタがふんだんに盛り込まれていて、著者の実経験によるものであろう内容に、自分にとってもみじかな存在のコンビニとはいえ”へぇ~そうなんだ~”と初めて知る豆知識の豊富さに面白く読んだ。18年間結婚せず(性経験もなく)コンビニ一筋で生きてきた主人公恵子の設定や彼女(子供の頃も含め)の思想についてはそれ程異常さクレージーさ非現実さは思わなかったのだが、登場人物のひとり白羽さんを同居(同棲?)させるにいたるくだりや生活ぶりの部分にはちょっと抵抗感(こちらの方がちょっとありえないかなぁ~と)あったかな。
・・装丁の絵が、モンティー・パイソン調?ダリ調?エルンスト調?と個人的に感じたポップでホンワカぶりが良いね。
・・芥川賞とはいえ(けっこう期待したぶん)ちょっと物足りなさを正直感じた作品だったので次の(既に購入済み)「星が吸う水」に期待しよう。
・・ダメだった訳じゃ決してない。