Posted on 10月 25, 2016
(映画パンフレット)『燃える秋』
~「食卓のない家」の公開はいつかあるのかな?~
五木寛之原作の同名小説の映画化。小林正樹監督作品『燃える秋』(1979年)。東宝と三越の出資による作品で後に”三越事件”とまで云われる問題により現在まで続く未ソフト化の影響があるらしい。その訳なのか、なかなかこの映画を観る機会はなく、監督の特集上映などを待つしかない。
ちなみに『食卓のない家』を観ることのできる機会はいつぞやあるのだろうか?パンフレットは既に買っていて、いつでも準備(なんの?)はできているのだが・・どうやらこちらの作品の方が観るのは難しいらしいとのこと。
・・ということで自分は今回の”小林正樹映画祭・反骨の美学”(2016.10)のラインアップのこの作品が上映されると知るやいなや期待に胸ふくらませ、前もってパンフレットも購入し、初めて鑑賞することになった。
・・フィルム作品であり、キャストも佐分利信、芦田伸介、など重鎮俳優も出演であることもあって雰囲気だけでも久しぶりに映画らしい映画を観たなという鑑賞後満足感でいっぱいだった。
話は単純で男と女のくっついた離れただけ。そこで主人公の亜希(真野)の”恋愛はしたい!肉欲もある!でも私は結婚できないわ!”という独身自由謳歌宣言映画とでも云おうか・・。
あと嫌な観方だが、劇中にバンバンでてくるイランとペルシャ絨毯がなんだか宣伝を兼ねた観光推進映画にも感じたりと。しかもイランや絨毯にまつわる蘊蓄を登場人物が語るなどをみると松本清張原作の一コマかとも思えるような雑学要素も感じたりと。
音楽を手掛けた武満徹のサントラスコアは本当に良かったなぁ。
しかし何より一番観て良かったのはやはり主演の真野響子さん(若き真野さんを観ながらどっかで観たことのあるような顔、誰かに似てるなぁと思いながら結局思い出せず劇場をあとにし、家で思い出す。ニコッと笑った顔や澄ました真顔など今はモデルの昔は『キッチン(森田芳光監督)』の主演した川原亜矢子さんだ・・と個人的見解)。そしてその真野さんの裸体ではなく、何気ないしぐさや言動(コスチュームなども)のひとつひとつがエロチック。
・・ただ残念に感じたことは、エンディング。たしかにハイファイセットの歌う主題歌も良いのだが、せっかく全編にわたって武満さんの可憐なスコアが流れていたのだからせめてエンドタイトル時も余韻を残すように歌でない曲で締めくくって欲しかったなぁ・・。