(映画パンフレット)『白痴』~99’日本~

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 坂口安吾原作の同名小説を映画化、手塚眞監督作品『白痴』(1999)。

・・今月(2016.7)のNHK教育「100分で名著」でも安吾の「堕落論」がとりあげられている現在、いつものごとく古書店で安価(100円だった)で売られていたこの作品のパンフの購入をキッカケに原作を読み、映画も鑑賞。

実際これまで安吾作品をあまり読んでなかったので、代表作と云われるこの作品が安吾作品らしいのか、らしくないのか判らないまま映画を鑑賞したのだが・・。

近未来的な放送業界を追加した(というより映画の半分以上追加により脚色された?)展開に残念ながら正直自分は少々引いてしまった。製作陣や携わった関係各位のスタッフには悪いと思うが、感想なのでこれはショウガナイ。イチ映画を楽しもうとした個人の感想なのでなにもここで作品を持ち上げようとは思わない。

・・キャストとしては、主演の浅野忠信さんにしても”白痴”こと甲田さん(モデルでしょ?)にしてもキレイキレイした印象が強く、ちょっと原作のイメージとは違ったなぁ。戦後のウス汚れ感がなかったなぁ。”銀河”役の橋本麗香さんにいたっても、可愛らしい、お人形さんのようで外見はよかったのだが、なにせ役柄があぁいう以上観てて心地悪かったなぁ(現在の芸能界にもあぁいう娘はいる?)。できれば全編原作に忠実に映像化して欲しかったなぁ。あと、映像もカラフルでなく白黒に荒くしたりするなどすると(劇中の8mm映像の感じが良かった)戦後らしく自分的にはしっくりいったと思うのだが・・。ということで映像の魔術師的クリエイターの手塚監督によりCG処理や極彩色演出をいろいろ手がけたのだが、それをやればやるほど(仕掛ければ仕掛けるほど)なにか自分には違和感がつのり、まったく色彩を無くした方が良かったなぁと個人的感想。

・・当然のことながらこの映画に限らず、お金をかけて壮大なオープンセットををつくり目を見張るような斬新なCG映像を作っても、受け手(観る側)の心に入ってくるのか、こないのか、それは別だよね。だから正直この小説の映画化に関してはコジンマリした地味なくすんだ映像の作品であって欲しかったなぁ。

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