Posted on 11月 24, 2016
(映画パンフレット)『葛城事件』
赤堀雅秋監督作品『葛城事件』(2016年)。
・・各地での単館上映をいろんな諸事情で行くことができず半分諦めていた矢先の上映の機会に(今回は観る機会がつくれ)いざ期待して鑑賞。
ズシリと重たい今の日本においてのリアルな映画に圧倒された。ちょうど「冷たい熱帯魚」(どちらの作品も食卓でのコンビニ弁当を食す共通性)を観た後のような(賞賛の意味での)胸くそ悪さ、気持ち悪さを引きづる衝撃作だったなぁ。
ラスト、父の清(演ずる三浦友和さん、「アウトレイジ」の加藤会長役よりもさらに悪く見えたなぁ)が庭のミカンの木で**の失敗のあと、食べかけだったダイニングでのそばをズルズル黙々と食べるさまを観て、あれ?、以前似たような状況下での食事のシーンを他作品で観たなとちょっと考えてみて、そうだ、ATG映画「逆噴射家族」でのラスト、戦いの末クタクタな状況下にも関わらず朝ごはんを食べる一家の様子を思い起こしたりなど。
ただこの映画、監督によるリアルさの追求にいろんな事件の取材などされ映画の中に盛り込み、人物の設定や事件の描写にリアルさが感じられたのだが・・個人的にツッコミと云うかちょっと納得いかなかった(飲み込めなかった)ことがあって、まず田中麗奈さん演ずる獄中結婚希望する女の役、あんな人本当に現実にいるのだろうかということ、そして次男による無差別殺傷のシーン。現場で何が行われているのか解るであろうはずなのにどうも周りの人々は驚きながらも見てるだけ(そりゃ、近くの人はすぐ捕まえられて刺されるわな)のように観られたのだが・・思わずスクリーンに向かって「見てないで早く逃げろよ!」と叫びたくなるようなじれったさを感じたりしたなどあったかな。
・・映画は本当に面白く衝撃もあって記憶に残る作品のひとつとなったが、また観るかと云えば・・個人的には正直今後何度も観るような映画でないと思う。それほど観たあと疲れる。
・・でもこれこそ映画だと思うね。センセーショナル万歳。