Updated on 7月 17, 2022
(小説・エッセイ)(日野啓三)『夢の島(文庫)』
日野啓三著『夢の島』(1985)講談社
~~まず日野啓三作品のなにが良いかって・・本編を読む前からして本の装丁意匠が良い。一幅の絵画を買うようなものでもある。もぅそれだけでも満足。例えて云うなら映画「007シリーズ」の本編前のタイトルデザインのようなもの。本編をもぅ観た感、読んだ感になってしまうほど、そんな感触が日野作品にはある~~
・・芥川賞作家であり(『あの夕陽』で受賞)、夢日記を綴っていたと知られる原作者日野啓三の代表作のひとつ「夢の島」。自分が読んだ初めての日野作品。次に読んだ「砂丘が動くように」で完全に日野啓三世界(何かカラッとした無機質的を感じつつ幻想的に抽象的にも感じる独特なタッチ)の虜となってしまった。ちょっとした安部公房の延長線的な作家かなとも思うことも。なので物語の説明はとなるとしづらいものがあるかな。
・・以後、自然と本の背表紙記載の作者名に”日野啓三”とあると有無を言わさず手に取って(買って)しまう。
・・たしかに前々から東京での埋め立て地のごみ処理場のことを「夢の島」と云われてたこと(あと、もうひとつ加えると日本中を震撼させた「事件」で被害者がのドラム缶が置かれたとこが夢の島近辺だったとその頃から知ってはいた。・・ので、この初めて読むにあたった日野作品『夢の島』を夜みる夢に関する・・まではたしかに思ってもいなかったことはたしか。