(映画パンフレット)『PERFECT DAYS』

  ヴィム・ヴェンダース脚本、監督作品『PERFECT DAYS』(2023)

  原題「PERFECT DAYS」

 (出演)役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和、

 (音楽)「PERFECT DAY」ルー・リード 他

  ~カンヌ国際映画祭、主演男優賞受賞(役所広司)~

  「今度は今度・・今は今・・」

・・役所さん演ずるキャラを観ながら清掃画家のガタロさんと羽田空港の清掃員の新津さん掛け合わせたようにみえてその実直さ真面目さに観心地が本当に良かったね。あとやはりか、どうしてもジャームッシュの『パターソン』も思い起こさずにはいられない。

 「孤独」とか映画のキーワードになってるらしいけど、「孤独」というより「孤高」だよね。毎日淡々と仕事をこなし銭湯に食事に聴く音楽に誰も干渉されることなく自分のペースで生きてる。ミニマルな金の掛からない趣味も多くもちカセットテープに文庫本に楽しんでるね。とはいえ、毎日同じようなルーティンっぽく見られるのだが、じっさいは一期一会などあったりなど毎日同じなようで違うというのもキーとなってるんじゃないかな。主人公の平山もいつも独りぼっちどころか行きつけの食堂から銭湯から居酒屋から全然寂しい思いもしてなさそう。日々生活してるなかで軸がありこだわりを持ち照れながら(不器用ながら)周囲から親しまれている。こういう現実でも居るような居ないようなキャラに世の男たちも憧れるんじゃないかな。

 三浦友和さんとの二人芝居(大人と無邪気な子供のはざまを感じさせられた影踏み)では大御所俳優の共演というのか、『ヒート』でのデニーロとアルパチーノの共演ぶりなんかを観ながら感じたりするものがあったし、素直にずっと観ていたくなった心揺さぶられるものがあったね。

 もうひとつ印象残るのカットとしてラストカットの長回しの役所さんの表情もグッときたものがあったけど・・変な処に目がいってしまったか・・直線の道を走ってるような割にはハンドル動かしすぎのようにみえてしまってちょっとしたノイズにも感じちゃったかな。

 この映画ではじめて知った主題歌のひとつというべきルー・リードの「perfect day」。劇中でも象徴的に夕陽のなか自転車で駆けていくさまをバックに(このシーンだけでも)人生観を感じさせられ、翌日からちょくちょく聴くようにしてる。

・・いろんなネットによる憶測や考察などで、どうやら主人公の平山は大きな組織や会社などに属してて失敗を被ったかドロップアウトしたかで今の職となったんじゃ・・など設定(前歴など)の推察してる人も少なくなく見られたりしたが、自分が思うに(自分のような生活ぶりと照らし合わせてみて実感したりもあったが)、あの一途な自分のペースで自由気ままに日々過ごしてる、しかも同じ兄妹でも生き方の違いっぷりにも関わらずあのライフタイルを貫いているのを目にすると(自分も同じく兄弟ひとつとっても考え方生き方もまったく違うし)元々性に合った暮らしぶりなんじゃないか、どうも、そういうスタイルが元々あっているからなんじゃないのかなと、共感というのか、自分にも重なる部分もあったりなど思い返してみると元々そういう気性なんだからという・・そんな気がしたんだがね。