(映画パンフレット)『野球少女』

 チェ・ユンテ脚本、編集、監督作品『野球少女』(2020)

 原題「야구소녀、BASEBALL GIRL」

(出演)イ・ジュヨン、イ・ジュニョク、ヨム・ヘラン、

韓国の社会を表現された反スポ根であり比較的地味な映画だったかな。現実という生活のなかで思い知る挫折感や苦しみ。わかっちゃいるけど、観てて寒々しかったね。

 主役ヒロインを演じたイ・ジュヨンさん。高校生役とはいえ撮影当時27歳?いっけん山口百恵さんのような、最近で云うと石原さとみさんを思わせられたはじめて知った女優(こんどはベイビードライバーを観てみようかと)。取り立てて可愛らしい容貌でもなくつっぱねたり往生際のわるさに、応援のし甲斐もなくなったりもするのだが、ショウガナイ、現実は厳しいんだから。主人公もそうだけど、友人のダンサーの娘もオーディションで顔だけで落とされたと云ったのには現実とあれどもさすがに可哀そう。

 と、途中からお母さんの出番(境遇)が大きくなったね。子供である主人公から母(お母さん曰く、生きてるだけで苦しいと)に対してお金しかないと非難してたが、要は、母は娘のことをよく見ていなかった(知らなかった)ということが親子といえども大きい歪みがあったんじゃないのかと。これは自分も含めた万人にあたることじゃないかな。

・・名作『フィールド・オブ・ドリームス』でもあったことだが、やはり残念なことに慣れた(つちかった)役どころとはいえ(どちらも野球ということで)今作ではコーチ役、『フィールド』では元選手だった父役の両者の球の投げぶりが経験者でないっぽく(あからさまに見える)みられ、タメ息が出てしまうものがある。なんとかサマになるくらいならなかったのかと。

・・映画は最後にハッピーエンドっぽいかんじで終えられるが・・大事なのはこの後じゃないか。プロ野球界じゃくとも、学校でもそう。良い高校や大学に入ったって、落ちこぼれになったら楽しめないし、その先も期待できなくなる。スポーツの世界でも名門球団に入って話題となってもその先がなければ元もこうもない。劇中のはじめにも同級生がスカウトされたがさてどうかなと。そんなに現実は甘いもんじゃないよね。