Posted on 10月 26, 2025
(映画パンフレット)『1984』
ジョージ・オーウェル原作小説を映画化、マイケル・ラドフォード脚本、監督作品『1984』(1984)
原題「1984/Nineteen Eighty-Four」
(出演)ジョン・ハート、リチャード・バートン、スザンナ・ハミルトン、シリル・キューザック、グレゴール・フィッシャー、
(撮影)ロジャー・ディーキンス
(音楽)ユーリズミックス
(主題歌)アニー・レノックス「Julia」
・・ステープルドン原作小説を読みつつ、タルコフスキー映画の原作を読んでの映画を観ることに続いて、この歳になってようやく名作「1984年」を読み映画を観ることに。・・もっぱらここ数年SF作品(本も映画も)になんだか偏ってる傾向がある。若い頃の自分を思うと考えられないよね、あれだけ毛嫌いしてた世界に今やすんなり面白く堪能してる。
直近での原作「ソラリス(完訳版)」を時間かけて(かかって)読み切ったのに対して、こちらは一気に読んでしまった。まったく難しくもなく、とくにエンディングにかけては読みながら映画を観てるような映像がうかんでくるような・・なんとも切なくも儚くももどかしくも残酷(ただ一言ディストピアとでは説明できない)でありつつも、一組の男女による悲恋の物語に読み終えた際にはどっと疲れもでてきて、しかもため息も出てしまったね。
巷に云われるディストピアと云っても、他作品で云う『ソイレント・グリーン』や『未来世紀ブラジル』『ニューオーダー』のように世の中をワチャワチャ描かれたものとはちょっと違って登場人物も極力少なく抑圧も恐怖もギュッと凝縮されたような感じだったね。
(ここまで映画を観る前に先に読んだ原作に関する率直な感想)
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・・きっちり原作をまとめられて色合いも全編冷たいグレー感あって(その反面の緑映える桃源郷の世界のギャップもありつつ)よかったけど、なんか原作の世界に比べたら世界が小さく物語の流れも速かったね。3時間くらいあっても退屈はしなかったと思うが・・もうちょっとスケール(貧しいオセアニアの街並みは銀鉄の哲郎の故郷の街メガロポリスっぽい世界っていうよりも観ててリンチの『イレイザーヘッド』でのフィラデルフィアのようだったね)が欲しかったね。会社の描写ふくめて『未来世紀ブラジル』よりも小さく感じられたね。期待したラストは原作とは違ったね。自分は読んでる時から映像が丸々イメージされたくらいの映画張りの終演っぽい流れの主人公の破滅エンディングに溜息でる脱力感と絶望感を存分に味わったのだが・・たしかに辛く悲しいエンディングだったけど・・まぁね・・。
髪を切られたのはホロコーストを思わせられたし、手を挙げてのクロスさせるのは『怒りのデスロード』のウォーボーイズがよぎったし。
監督は反対したけどプロデューサーにまけて使われたユーリズミックスの楽曲はたしかにいらない。



