(映画パンフレット)(ATG映画)『蜜月』

   立松和平の自伝的原作(『路上の愛』から改題)を映画化、橋浦方人監督作品『蜜月』(1984)

  (英題)「honeymoon」

  (出演)佐藤浩市、中村久美、財津一郎、河内桃子、益岡徹、財津一郎、麿赤児、

  (音楽・演奏)山下洋輔

・・大人ぶって十代の頃初めてこの映画を観たのだが(蜜月)ということじたい判らないまま(どういう意味なのか知らないまま)だったので心を揺さぶられるもの、感動はなかったなぁ。ある程度年齢重ねてから観ないとなんのことやらだよね。 同じような作品の作家畑山博の『海に降る雪』が思い起こされる。

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・・著者立松さんの原作映画『遠雷』を久しぶりに観たことからこの作品も、もぅ20年以上ぶりかな(この年齢になって観方や感じ方も変わったろうと思いつつ)観てみた。

 やっぱり年とったせいか、観方、感じ方、捉え方も変わって良かったね。痛々しく残酷で、この先彼ら大丈夫か?と他人事ながら心にグサリ刺さるものがあったね。

 このあいだ観た『遠雷』の結婚したふたりには観ていてつつましくも応援したくなるような、遠くから遠雷が聞こえても、この先うまくいって欲しいと思った・・その反面、こちらの二人は観ていて不安ばかりが付きまとう、(ラストで「結婚してよかったね」だったが)大丈夫か?だったね。

 その印象を引きたてかのように劇伴で流れる不穏というかノイズにしか聞こえなかったジャズ曲が荒々しく観心地は良くなかったね(同じATG映画『天使の恍惚』みたいだなぁとも)。

・・毎度映画に登場するヒッチコックのごとく『遠雷』での役所の職員に続いて、今回はバスの乗客役での立松さんの登場。本人は出たがりなのかな?それともお遊びながらのスタッフによるものだったのかな?

・・早稲田大学による主人公「村上」はあの人を匂わしたこと?

・・劇中、村上のちらり映った原稿用紙のタイトル「路上の愛」はこの作品『蜜月』と改題される前の実際のタイトルだったね。

・・今や、いい歳を重ねてる女優の中村久美さん。『遠雷』時の石田えりさんとはまた違うイヤラシさの感じさせられない清楚ぶりが観てて気持ち良かったね。やはり映画には女優のチカラがないと記憶にも残らない。

・・いや、とにかく久しぶり観てよかったね。これなんだよね、ATG映画を観終わったあとに残る(良い意味でも悪い意味でも)悶々感があるのは。それとやっぱり男は女を悲しめたり泣かしたり手を出しちゃいけないよね。それでも別れることなく女も男にくっつこうもんならその二人はスピリチュアル的に云えばソウルメイトなんだろうね。

・・印象といい余韻といい観る前も観たあともたしかに地味な映画だとは思ったけど、昨今の日本映画(といっても近年なかなか映画館へ観に行く作品がないので比べようもないが)とはちがい、やたら絶叫したりリアル感ないような芝居や奇を狙ったお話しの多いのに比べて(ATG作品ともども)観るに値する作品だね。

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