(映画パンフレット)(ATG映画)『もう頬づえはつかない』

もう頬づえはつかない1
もう頬づえはつかない2

  見延 典子原作ベストセラー小説を映画化、東陽一脚本、監督作品『もう頬づえはつかない』(1979)

 (出演)桃井かおり、奥田瑛二、森本レオ、伊丹十三、加茂さくら、

 (音楽)田中 未知

・・あらためて、この歳になって、ベストセラーとなった小説も気になり映画を観る前に読んでみて久しぶりに映画を観てみようかと。作者は当時卒論代わりとして発表した大学生だったが、自分にとってはロクな恋愛も性交渉もわからない十代や二十代に観ても楽しめなかったろうと。

・・原作といい映画といい読後鑑賞後感は昭和も昭和の70年代まだ大学闘争残る大学生の主人公による慎ましやかな恋愛と自立模様から、高野悦子さんの「二十歳の原点」のような印象受ける。ATG映画で云うと「Keiko」「蜜月」あたりを思い起こさせたり。フィクションとはいえ男二人のやるせなさが目立ってたが、よくよく考えてみても「類は~」じゃないが主人公のまりちゃんもどっちつがずのはっきりしない同類ぶりに、やっぱり引っ付くもん同志は惹かれるんだよなぁと実感。

赤裸々な私小説かと思いきや実はフィクションですと作者がのちに答えたらしいことに不満ではなかったが、なんだと。しかも内容はどいつもこいつも男も女もウジウジネチネチ煮え切らないながら昭和の貧しい「神田川」の世界のようななかでの三角関係と人工中絶。あらためて観てけっして楽しいものではなくストレスたまる。サブキャラの美容師の奥さんの加茂さんも悪者にしか見えないし。

・・映画になると初々しいとはいえ桃井かおりさんのまりちゃん役が個人的にどうも(「疑惑」で球磨子を演じた桃井さんだもんね)。橋本君の奥田さんはよかったとして恒雄の森本さんもなにか違和感。

・・ラストも同じ監督作の「マノン」での烏丸せつこさんのようにもっとはじけ飛んだ自立ぶりが欲しかったな。

・・ただ、70年代の懐かしき風景(インベーダーゲーム、古き新宿駅や高田馬場界隈、共同電話など)も見られて貧しいながらもまだ元気だったころの昭和がひしと感じたかな。

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