(映画パンフレット)(ATG映画)『音楽』

 三島由紀夫による同名原作を映画化、増村保造脚本、監督作品『音楽』(1972)

 英題「MUSIC」

 (出演)黒沢のり子、細川俊之、森次浩司、高橋長英、

 (音楽)林光

・・まずはパンフから。しょっちゅう、同じATG映画の『真夜中のパーティー』のパンフと見間違えたりするんだよね。表紙の蜜になってかたまる人物たちのレイアウトが似てるんだよね。バックも同じようなグレー系だしね。たしかに本編内もそうだけど、このパンフの表紙の紅一点黒沢のり子さんが奇麗。かといえばポスターにもあるオープニングタイトル時の鋏の動きに合わせた黒沢さんの裸体が目に焼き付くエロチシズム。また良いのが(ポスターのレイアウトとして)、首だけの男たちの並びがラシュモア山の4人の大統領のようにも見えてなんか恰好いい。

この映画、CSでもそれほど放映しないし、レンタルDVDにも置いてないがち。なので何年かに一度特集上映を待って劇場で観るしかないような今となってはレアな作品じゃないかな。今回の三島由紀夫原作ものの映画化特集でさっそく観に行く(初めてじゃなく過去何度もテレビ放映で観たりしたが映画館では初めて)。『燈台』との同時上映。

・・経年によって全編赤茶け状態(暗闇、漆黒のイメージあったけど真っ赤だったね)。『愛奴』の鑑賞時を思い出したね。

・・いやぁ、もぅ、ゾックゾクしたね。もぅ、まさに黒沢のり子さんのための映画。もぅ、精神分析も近親相姦もどうでもよくなる。精神分析っていったらヒッチコックの『白い恐怖』以来ってとこかな?よりこっち(音楽)の方が専門色多かったね。

これで何回目かの鑑賞だったけどやっぱり観心地よかったし刺さりまくってたなぁ。007シリーズのタイトルシークエンスしかりこの映画での黒沢さんと鋏の絡みはダリやキリコを思わせるシュールさにもぅ何百回も観れるね。

併映の『燈台』は初鑑賞。60分ちょっとの上映にあんまり期待ししてなかったけど、いやぁ、これが秀作だったね。こっちも心理サスペンス要素ありの映画。観てて(展開ぶりに)苦しかったなぁ。なんたるあの家族のバラツキぶり。原作(戯曲)をあらためて読みたくなったね。ただ難を云うと後妻役の津島恵子さんにあまり刺さらなかったなぁ(個人的嗜好)。・・この映画のポスターは見られるんだけどチラシやパンフは存在しないのかな?

・・(その後)・・原作読みたくなって初版版買った。もしかしたら三島原作の中でこれまで(そんなに沢山じゃないけど)読んだなかで一番読み応えあったかも。

・・(その後2)・・昔、DVDに録画保存してたのを見つけ観てみた。まさかあったとは思わなかった。映画館で赤茶けて観ずらかったのが、こっちではキレイな映像だったね。いやぁ、増村監督演出・・いいねぇ。