(映画パンフレット)『聖地には蜘蛛が巣を張る』

  アリ・アッバシ製作、脚本、監督作品『聖地には蜘蛛が巣を張る』(2022)

  英題「Holy Spider」

 (出演)メフディ・バジェスタニ、ザーラ・アミール・エブラヒミ、

 (音楽)マルティン・ディルコフ

  ~カンヌ国際映画祭女優賞受賞~

・・さすがにこれは凄いもんを観たなぁと余韻に引きずった『由宇子の天秤』の翌日、たまたまジャーナリストもの続きとなったが、なにかしら急に観たくなっての鑑賞。以前上映前に観た予告のみのまったくどんな映画なのか予備知識なくの鑑賞。

昨日のあれは何だったのか、と思ってしまったほど『由宇子の天秤』が吹っ飛んでしまったほどの衝撃とざわつき。最後の最後まで気の抜けないショックの連続に前日の同じジャーナリズム以上に恐怖と虚しさとやり切れなさを感じた。犯人側の視点も交互に出ることからも他作『バニシング』『ジャッカルの日』『ボーダーライン』なんかを思い起こされることもあるなど、ドキュメンタリーちっくな展開もエンタメ性に優れてやっぱり(怖ろしい世界でもあるが)面白かったなぁと。

・・つくづく自分の今世はこういう治安のよろしくない国に生まれてなくて(且つ、そういった国の実体やら情勢やら風土などをこうして映画によりドッカリ椅子に座って観られるような日本で過ごしているこの時間を思うと)良かったなぁと。ただそうは云っても今世は日本だが寿命が訪れ肉体も滅び次に転生として生まれ変わる際には過酷な時代も大昔になるやら未来になるやら(自分も思うに輪廻転生としても常に未来だけでなく過去にも成長のために行くこともあるんじゃないかと)わからないがね。

映画もフィクションとはいえ劇中に登場するような人も現実実際に存在するのはほぼ事実のようなもの。彼女たちも好きでこういう生活をするために生まれてきたんじゃないと思うんだが、やっぱりこれも彼女たちにとっての自ら(課したのか?)修行のひとつで宿命であり運命だったのかなと。

これまで何百と映画やドラマで絞殺や扼殺のシーンを観てきたけど、なかなかここまで食い入ってしまうほど人が死んでいくのに見入ってしまったのはなかったね。この映画でも数回行われる首を絞めて人間が息絶える模様を目にしてたしかに恐ろしさもあったけど、人間の命って儚いもんだなぁ(首を締めあげることで死に至るんだと)と思いつつそのリアルさ描写に凍りついたね。

・・監督の前作『ボーダー 二つの世界』がさすがに観たい興味がでたね。