Posted on 6月 17, 2023
(映画パンフレット)『事件』
大岡昇平の原作小説(1978年、日本推理作家協会賞作)を映画化、新藤兼人脚本、野村芳太郎製作、監督作品『事件』(1978)
(出演)松坂慶子、永島敏行、丹波哲郎、芦田伸介、佐分利信、大竹しのぶ、渡瀬恒彦、夏純子、山本圭、佐野浅生、北林谷栄、森繫久彌、丹古母 鬼馬二、乙羽信子、西村晃、
(撮影)川又 昻
(音楽)芥川也寸志
~第2回(1979)日本アカデミー賞作品賞、助演女優賞、~
・・パンフのデザインはシンプルで地味な感じだが、日本映画史のなかでも屈指の傑作法廷劇映画。映画を観終わったあとだけでなく何十年と耳に脳裏に記憶する芥川さんのメインテーマが残る。野村芳太郎監督作品にハズレが無いどころか名作しかないんじゃないかと思わせられる。
原作は未読だが充分映画にのみでも楽しめられる。内容は郊外で起きた小さな事件による法廷ものだが、古今東西の法廷映画のなかでもまず最初に挙げられるほどの(まったく退屈することない)名作。余韻に印象に良い映画を観たなぁ~と切実と頭のなかで思い巡らせられる後味がいつまでも続く。
出演陣(俳優たち)も豪華。証言者役だけでも名俳優揃い。役どころは短かく汚れ役だったがお気に入り夏純子さんも出演されててちょっぴり嬉しい。しかし、女優陣といえば今作でのメインの姉妹役の松坂慶子さんと大竹しのぶさんが格別にいい。昔から両者ともとくに好きなというわけでもないが、この映画においての演技においては賛辞しかない。大竹さんは当時まだ年齢も若かったが女優の演技をこえて役としてしか見えなかった。松坂さんも同じく回想メインの、観ながら、日本版ローラ・パーマーだなと。真相がわかり裁判も終わったあとにも切なさが残るね。途中あれだけ観ながら不快に感じどうしようもない男っぷりの渡瀬さんもラストでの橋の上でのやりとに(エンディングとして)ホロっとさせられたね。佐分利さんはどの映画に出ても佐分利さんでしかなかったね。
まぁ、タダでさえキッチリと全編だらけることのないエンタメ性の高い法廷モノにも関わらずそれを何倍にも秀作にしてしまったメインテーマのチカラはさすがに強かった。