Updated on 8月 19, 2019
(映画パンフレット) 『マルセルの夏』
イヴ・ロベール監督作品『マルセルの夏』(1990年)
原題「La gloire de mon pere」
マルセル・パニョルの回顧録「父の栄光」の映画化。
・・どうも昔から家族ものに弱い自分はこの映画の劇場予告編を観てから(予告の段階から)完全にやられてしまった。そして上映館少ない公開館のひとつまで遠方だったが(なんの苦も感じず)観に行き、期待以上の胸を打つ清々しいこの感動作に浸ったものだった。
・・まさに生涯の一本だな。
原作の三部作の本は持っているんだが未だに読んでいないなぁ。映画だけでもう存分に満足しているからね。
キャストではタイトルにもなってるマルセルをはじめとした兄弟・・と云いたいとこなんだが、なんといっても母(オーギュスティーヌ)役のナタリー・ルーセルが格別に良い。こんなにも可憐で優しく器量の良い母親がいるだろうか? 同じく教師の父親(ジョゼフ)も息子と狩に行ったりと、寛大でほのぼのと魅入ってしまう。
音楽はウラジミール・コスマが担当。雄大なメインテーマ(映画のオープニングクレジットではガルラバン山を空撮の映像バックに流れる曲。あと被さるセミの鳴き声もいいね。)は今や脳内に染み渡り、日頃日本の中においても絶景や良い景色など見た折には自然と耳の中で流れてくるそんな曲である。
・・話は特に山あり谷ありの展開もなく事件らしき事件も起きない日常を描いているのだが、それが良い。庄野潤三原作もののように思えてしまうね。
・・この家族たちを観ているだけで本当に幸せな気持ちになる。自分としては夏季に観る定番の一本となってる。