(映画パンフレット)『山女』

  福永壮志監督作品『山女』(2023)

  英題「Mountain Woman」

 (出演)山田杏奈、森山未來、二ノ宮隆太郎、三浦透子、山中崇、川瀬陽太、白川和子、品川徹、でんでん、永瀬正敏、

 (撮影)ダニエル・サティノフ

 (音楽)アレックス・チャン・ハンタイ

・・NHKで放映されたのも気に入り、しかも過去作(ドラマでなく映画で)で同じく気になる女優の山田杏奈さん主演となればお金を払ってでも(その完全版?ロングバージョン?)としての作品を観ようと思い数少ない劇場公開のなか鑑賞。

 テレビ版同様たしかにきれいな映像の不思議なお話しにある程度は満足した。たしかに主演の山田さんもよかった。・・けど、悪く云えば、キレイに無難にまとめて着地させたようなウェルメイドな作品だったかな。・・欲云えばもっとすんごいものが観たかったね。最近の他作品の「福田村事件」などあったりもしたし、古き日本の閉鎖的土着的世界といえばこれまでに今村昌平監督作で堪能してきた身にとってはやはりR指定になってもいいくらいなドロドロと汚くきびしいものが(比べるのもアレだが)観たかったね。

・・そもそもショウガナイながらもモヤモヤ感も多く残るものがあったと云えばある。この作品が山田さん主演だからできた(引き立った)反面、できなかったんじゃないかの部分も考えられる。 あの貧しい食事のシーンをみせられたぶんさぞかし空腹に栄養に大変だったろうなぁを思うと二度ほどの山田さんの脱衣の半裸体で血色のいい肉付きもいいピチピチした肌が。ふつうに思うにガリガリの肌ツヤもない(体毛も処理されないような)もんでしょ? R指定くらいといったのは、ジャンヌダルクを思わせられたラストでの脱衣のくだりも今村監督や外国作品だったら正面から全部見せたんじゃないかな(このへんで山田さんだったから後ろからのちょっととなったのかな)。 肌ツヤといえば山男の森山さんのキャラも髪はボサボサだったが顔の肌ツヤがあって違和感。山で生活してるくらいならもっと歯から眉毛から汚れぐあいまでもっと野性味ある臭いそうな汚らしさがあってもって思ったんだけどね・・。

 そのふたりの山女と山男。そもそも主人公のりんは山男の何に惹かれたんだろうと。そして人間としてオスとメスの動物として仲良くなる過程に性的営みもあってもと想像してしまう。だからこそラストでりんを庇う抵抗する山男の攻防も引き立つんじゃないかなと。しかもあっさりとやられてしまったんだけど(ネタバレになったか)もっと野獣性あるようにもぅ3~4発くらってもまだ死なずこれでもかと襲ってくるくらいの迫力欲しかったね。

 まぁ、今旬な女優山田さんのお芝居が観られただけで満足かな。不満なパンフの文字だけパターン(せめて遠景の山々とか何かしら絵が欲しいよね)とは別にチラシの方での山田さんの顔を見ていると、ひと昔前の同じく実力派女優のひとりだった(最近はどうしたことか)池脇千鶴さんなんかがダブって見えたりなど今後においても期待される女優のひとりだと思うね(出演作は全部チェックして観るかっていうと正直そうでもない、作品や役どころにもよると思う)。