Posted on 4月 18, 2019
(映画パンフレット)『サン・ソレイユ』
クリス・マルケル製作、撮影、監督作品『サン・ソレイユ』(1982)
原題「SANS SOLEIL」ムソルグスキーの歌曲「日の光もなく」からのタイトル
2019年4月公開の特集上映にて鑑賞。監督作「ラ・ジュテ」「A.K」に続く3作目。
パンフレットは以前古書市で買ったもの(1986年アテネフランセ公開時パンフ)。
・・単に「ラ・ジュテ」の監督による代表作の一本ということで鑑賞。いっけん(もう随分と昔に観たヴェンダース監督作「東京画」のようにも感じることもあったが、単に風景を撮ったものだけでなくそこに設定を加え(紀元4000年から2000年さかのぼってきたなど「ラ・ジュテ」を感じさせる)終始流れる哲学的ポエムにドキュメンタリーというよりもやはり詩的なモンタージュ回顧録を味わう。
音楽に関しては最初YMOのような電子音調の曲などに懐かしさ感じたりもあったが、あれ、冨田勲さんの曲だったんだね。ピコピコ鳴る80年代サウンドに家帰ってからまた聴きたくなっちゃた。
映像のなかの東京の風景も今や無くなってる建物(一瞬映った有楽町の日劇にはオッと思ったね)や人々、動物からオープニングに映った三人の少女たちの居た町も噴火によって無くなっているし、この映画をつくったマルケル監督自身ももういない。そんなことを思いながら映画を観つつ、なにか、方丈記の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」が思い起こされて無常観を感じたね。
かと云って難しいだけでなく、様々な切り取ったコラージュ的風景(テレビ画面から電車内の寝てる人々、竹の子族、ショッキングなキリンの射殺など)に、懐かしいやら美しいやらいろいろ刺さるものがあったね。