(映画パンフレット)『砂の香り』

  川口松太郎原作「人魚」を映画化、岩内克己脚本、監督作品『砂の香り』(1968)

 (出演)浜美枝、中山仁、松本めぐみ、中村伸郎、吉村実子、賀原夏子、

 (音楽)渡辺宙明

 (撮影)中井朝一

・・パンフをみて映画の存在を知ったのがキッカケ。存在だけでなくその表紙のデザインに惚れ。ATG調をも思わせられるアーティスティック(淡い東郷青児風なんかも)に自分好みの作品なんかではと観たい気持ちを持ちつつレンタルもセルもない。ということで日本映画専門チャンネルでの放映か劇場での特集上映を待つしかない・・と、さっそくそれほど待つこともなく上映の機会がありさっそくどんなものなのかと期待膨らませて劇場へ。

 冒頭のタイトルから序盤へと『砂の上の植物群』っぽさを思わせられたアヴァンギャルドにゾクゾクワクワク。能面の異様さや時々挟まれるサブリミナルカットもなにか普通でない作品感。浜さんも若いだけでなく奇麗。原作の『人魚」ということからどんな摩訶不思議な世界が・・と期待しながら観てると、あれあれと、最後には裁判沙汰となる現実味どっぷりのふつうの不倫ドラマとなってまったね。第三の男のオマージュも? 原作からして「人魚」だし出だしの『砂の上」感といい、もっとめくるめく非現実感あるものが観たかったね。他の例えでいうと『愛奴』系なノリというのか。

・・ただ初めてパンフのジャケ惚れによって存在を知っただけでなくちゃんと作品を観ることができてよかった。