(映画パンフレット)『砂の上の植物群(プレス)』

 吉行淳之介の原作を映画化、中平康監督作品『砂の上の植物群』(1964)

 (オープニングタイトル)パウル・クレーの抽象画と バッハの前奏曲とフーガ ドリア調BWV538

 (出演)仲谷昇、島崎雪子、稲野和子、西尾三枝子

・・この作品はキョウレツだ。比べようがないのだが、もしかしたら中平作品のなかで一番好きかもしれない。というほど、初めて映画を観た際(中平康監督特集上映で「砂の上」目当てで行ったが他にも数本未DVD作品など鑑賞)のインパクト度は「月曜日のユカ」や名作と云われる「狂った果実」を観た時以上にぶったまげたねぇ。前衛的・・というわけじゃないと思うけど、他の作品となにか違う。原作を読んだ時以上に感嘆した。のちにwowowで監督作品の放映された時には入ってて良かったと嬉しかったね。

それまで半生観て来たテレビドラマや映画でのバイプレーヤーとしての仲谷さんの堂々とした主役ぶりに驚いたとともに元々主役級の役者さんだったんだと後に観た「猟人日記」を観てからも改めて思ったりも。

そして仲谷さんも良かったが何んといってもヒロインを演じた西尾三枝子さん。この映画で初めて知った。他の出演作品を調べるとあまり知られた作品が無いように感じたが、まぁそれでもよく、まさにこの映画のために出演した女神的存在と云えようと思う。

音楽は黛敏郎さんが担当したのだが、要所要所に流れるバッハの前奏曲があまりにも作品のカラーとなっていて他の劇中曲を忘れてしまうほどインパクトがあったね。