(映画パンフレット)『トキワ荘の青春』

 市川準脚本、監督作品『トキワ荘の青春』(1996)

 英題「Tokiwa:The Manga Apartment」

 (出演) 本木雅弘、大森嘉之、阿部サダヲ、古田新太、生瀬勝久、鈴木卓爾、さとうこうじ、翁華栄、

・・とうとう藤子不二雄Ⓐさん亡くなられたニュースを知って(自分はこれまでも漫画を読んできた人間ではなかったが)さすがに寂しいもんがあったね。というか市川監督も亡くなられて結構経つけどね(市川作品はみんな好きだな)。

漫画は読んでなくとも昭和の人間にとっては必ずやテレビや書店などでみかけるなど誰もが知ってる作品群に、当時の幼かった頃の自分など重ねて思い出されたりなど映画同様に記憶なんかが思い返されたりなど懐かしいもんなどあるよね。その人物たちによるクリエイトする喜びや産みの苦しみなどの悲喜こもごもがクスッとおかしくホロっとさせられたりも。悲哀感満載なんだが、残酷さがない。

 とくに気に入ったではないが、なんてことないような(ハナから笑わすカットでなくとも)たとえば学童社のなかでのやりとりのバックで積み上げられた返品の山をみる度笑わずにはいられなかったしね。

過去にNHKで放映されてたドラマ「まんが道」(おなじトキワ壮絡み)など楽しく観たこともあったけど、安心して観られたノホホンとした世界だったドラマ同様(あの頃のNHKドラマは「たけしくんハイ」向田邦子ドラマ、松本清張原作ドラマ等々名作が多かったよね)この映画もこれまでの市川監督作品と同じ独特な世界観(というのか雰囲気と云うのかニオイというか)があり・・だいたい観心地からして良いよね。うるさくない静かなタッチがなにしろいい。登場人物たちのボソボソ台詞がいいよね。昨今の日本映画もわかりやすければいいとでもいうように、うるさくはないんだが大げさで現実感がないよね(映画と云えども舞台芝居調のやりとりが多くて聴いてても疲れちゃう。

・・この映画元々観よう観ようとして観たのでなく偶々見かけた映画で期待もなにもなかったんだが、ホントに観てよかった。染み入る映画だったね。市川準監督作品に不満無し。3時間でも4時間でも観ていたいような見応えだったね。

・・パンフのデザインとしてなんの予備知識なかったんで観る前の印象としては真ん中に小さくポツンとなんの漫画キャラだかわからない(いかにもな昔風なキャラだなと思った程度)に過ぎなかったんだが、観終わったあと同じ表紙を目にすると捉え方がガラリとかわって感慨深く・・やっぱり染み入る。影響あったか、寺田さんの漫画を改めて読みたくなったね。

 「・・お前の悩みってなんだ・・まだまだやれるよ・・」自分にも向けられた台詞のようにも感じたね。