(映画パンフレット)『盲獣』

 江戸川乱歩原作、増村保造監督作品『盲獣』(1969)海外上映版プレス

 海外上映版タイトル「The Blind Beast」

 (出演)船越英二、緑魔子、千石規子、

・・これぞ映画たるものじゃないかな。数ある増村作品のなかでも個人的には一番監督作らしいと思われることと一番好きかもしれない。サディスティック描写(血の描写は無かったね)含んだエログロナンセンスの代表格のひとつと云っていい。和製「悪魔のいけにえ」であり「コレクター」。台詞でも今じゃ聞くことのできない(めくら)(きちがい)の連発。すべてのシーンにゾクゾクする。

何度観てもアトリエセットの圧巻さにつくづく惚れ惚れする。各人体パーツを観てると昔観た「バロム1」での怪人(~ゲルゲって云ってたよね)が思い出されたりも。それにしても設定として盲獣こと彫刻家ミチオといい映画の美術スタッフとしてといいよくあれだけのセットをつくったもんだ。冒頭の写真の個展会場での各スチール写真もよかったね。緑さんの写真集として出されても絶対売れるんじゃないかと思われるくらいアーティスティックがある。モノクロなところがまた良いね。時々屹とみる表情が渥美マリさんのようにも見えたりする緑さんのなんと官能的なこと。またその緑さんの体を始終触れまくる船越さんの・・。

「触角の芸術」とはよく云ったものだ。普段からして思いつきそうだがなかなか口に出して表現できない言い回し。

あと気に入ってる台詞としては「舌は指よりも敏感だ」だね。しかもここまでくるとポルノ映画の領域にまで入ってきてると思うが・・。

「髪結いの亭主」での幼少期の回顧シーンでの散髪に目覚めたくだり同様、この映画での冒頭の写真展での彫像にペタペタ触る船越さんの観ててゾクゾクするシーンは繰り返し観たくなる個人的フェチシーンのひとつであろう。例えて云うならyou tubeでのasmr動画を繰り返し観てしまう感じに似てるかな。自分にとってのツボだね。

・・こういう映画として観る観客にとっての疑似体験(世の男たちにとっての妄想を映像化してくれるような)映画なんか今ではつくられることはないのかね?作家性の感じられる現在の映画監督が思いつかないよね。他でいう武智鉄二や中平康監督などのようなね・・。

(映画パンフレット)『初恋のきた道』

 パオ・シーの原作を映画化、チャン・ツィー主演、チャン・イーモウ監督作品『初恋のきた道』(1999)

 原題「我的父親母親 / The Road Home」

 (出演)チャオディ、チャン・ツィイー、ルオ・チャンユー、チョン・ハオ、ルオ・ユーシェン、スン・ホンレイ、

 (音楽)サンパオ

・・これまで半生観てきた映画のなかでも初観時「ふるさと」「ニューシネマ・パラダイス」などならぶ号泣映画のひとつ(劇場満員だったんでぐしゃぐしゃの顔を隣の人やらロビーへと帰る際に人目に見られるやらでホントに恥ずかしかったこと)。

強いて言えば回想時の若き父親役の俳優さんが古きカントリーチックな顔立ちに主人公がドキドキするほどかなぁ?など思うことも確かにあったけど、その主人公(ツィーさん)の一途で健気で純朴さにやられた。

(パブロフの犬)じゃないが、今でもメインテーマ聴く度ウルウルしてしまうなぁ。

昔の日本映画もこういう純な作品いっぱいあったんだけどねぇ・・・・・・・。