(映画パンフレット)(黒澤明作品)『天国と地獄(リバイバル)』

エド・マクベイン原作、87分署シリーズ「キングの身代金」を基に映画化。黒澤明監督作品『天国と地獄(初版)』(1963)リバイバル上映パンフ

「HIGH AND LOW」

・・冒頭からの家から一歩も外へ出ない密室劇もまったく退屈することなく緊張感がミシミシ伝わってくる展開を観てても良質な一級品のサスペンス感を大いに味わえる。ちょうど後年のタランティーノ監督作品『イングロリアス・バスターズ』での第一幕を観た際に同じような緊張感を味わったかな。自分にとっての一番のお気に入り俳優伊藤雄之助さんも出演されてるし(相変わらずのふてくされ調の演技言い回しがたまらない)。

まだ自分が十代だった頃だったか、まだ監督の偉大さも知らない頃、まだそれほどサスペンス映画どころか映画すらそれほど観ていなかった頃、たしかテレビで放映されてたのを観かけた記憶がある。ただ、オープニングタイトルでのバックに流れる女性のコーラスがまたこれが怖ろしく感じ(昔の典型的な恐怖映画などに使われたりするテルミンのようにも聞こえたのだろう)本編観ることなく消したか観なかった初めての「天国と地獄」との思い出がある。だいたい題名からして地獄だもんね。先入観で怖い映画かと思ったんだろうなぁ。

そして前半の静としての限定劇とは180度違い、動とした後半のメインといえばやはり列車からのカバンの受け渡しシーン。川を渡る際の人質のいる手前の撮影の為二階部分を取り壊した(継ぎ目の木材のみみえる)箇所も今では嫌でも目がいってしまったりするなか、当時の新幹線でない特急こだまのなかでの一発撮りにはさすが黒澤映画だと敬服してしまう。もぅ映画を観てるというよりドキュメンタリーだね。

他をあげるとキリがないが(パートカラーやら山崎努さんの演技やら)、こんな映画史に残る作品が後に犯罪にも利用されたりなど残念なこともあるが、それだけ全国に影響を与えるだけのチカラ、面白さがやはりあるんだよね。

・・もぅ、ぜんぜん(何回観ても)飽きない傑作だね。