(映画パンフレット)『みじかくも美しく燃え』

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  ボー・ヴィーデルベリ監督作品『みじかくも美しく燃え』(1967)。

・・まずパンフレットの表紙。淡い紗(ソフトフォーカス)のかかった色合いを見ると、アールヌーボー調の絵画(ミュシャの描いた広告キャラを感じさせる)のように美しい。見惚れる。

そして映画の内容、感想以前に映画のタイトル(邦題)が特にいいね。原題の「エルビア・マディガン(主人公の名前)」よりも文芸的ひびきもあって題名からして映画を盛り立てている。

・・”盛り立てる”と云えば、スコア(サントラ)のチカラもある。過去の名作にも”ワルキューレの騎行”といえば『地獄の黙示録』、マーラーの交響曲第5番第4楽章のアダージョといえば『ベニスに死す』などサウンドトラックとしてのクラシックのチカラは大きい。・・そしてこの映画。全編にわたってモーツァルトのピアノ協奏曲第21番が美しく、切なく流れる。

・・ふつうだったら(現実でも映画においてでも)他人の恋人たちのイチャつきなんか見てられるか!と思うのが常だが、佐良直美さんの歌”~ふたりの為~、世界はあるの~”じゃないけど、エデンの園のアダムとイヴのようなこの映画の二人の仲睦まじさにやさしく見守ってあげたくなる。

とはいえ、人間、生きていく以上、飢えをしのがなくてはならない。主演のピア・デゲルマルク(マリア・シェル似)の外見の可愛らしさに綱渡り芸人とは不つり合いというか違和感あった彼女も飢えをしのぐ為、キノコを野いちごを貪る姿が観てて他人事ながら辛く悲しかった。

・・そしてストップモーションとなったラストカットにかぶさる二発の銃声。北野監督の「HANABI」もそうだったが、・・切ない。

(小説・エッセイ)『殺人出産』

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 村田沙耶香著の短編集、『殺人出産』(2016年)講談社文庫。

・・この作品を近未来SF不条理ものと単に云っていいかどうか・・。

自分は読みながら映画でいうと「ソイレントグリーン」や「わたしを離さないで」など、また有無をいわさせない取り締まりの世界があることから「華氏451度」のような世界観さに気味悪さ全開感じたり。

ただ、”10人出産1人殺生”という制度(権利)に怖い恐ろしいというよりも自分はあまりにも現代からしてかけ離れた設定の非現実さに逆におかしく(コメディかと)ぶっ飛んだユーモアとして面白く読んだかな。

そうは云ってもラストでの殺人シーンはじっくりとグリグリ体を傷つけていくさま(なんだか遠藤周作の「海と毒薬」の九州医大での人体解剖実験の様子を思わせたり、よぎったりなど)に、読んでるこちらも痛々しかった。

他の作品、「トリプル」では、体液、唾液、色情、性器、精液、突起、乱交といった世界に自分のみる明晰夢の世界などダブったりして卑猥な展開に読みごたえあり。

最後の作品の「余命」は5ページほどの超短編。ふっと意識が薄れていくさまは、自分のみた過去の夢にも似たようなものがあって、まるで死んでいく瞬間のようなふっと意識が薄れるものがあって同じく読みながら恐怖を味わったなぁ。