(映画パンフレット)『沙耶のいる透視図』

  伊達一行同名原作小説を映画化、石井隆脚本、和泉聖治監督作品『沙耶のいる透視図』(1986)

  (出演)名高達男、高樹沙耶、土屋昌巳、加賀まりこ、山田辰夫、沢田和美、

  (撮影)佐々木原保志

  (音楽)一柳 慧

  ~1983年製作後「埋もれた新作発掘ロードショー」第一回作品として文芸地下劇場で3年が経った1986年10月17日に同劇場で公開~

   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・・公開当時地上波テレビでたまにやってた映画の予告編集番組のなかで作品を知ったかな。まだ大人になっていなかった為かまったく興味湧かず気味悪い印象しかなかった。暗かったし。内容も内容だし、監督や役者陣もとくに知らなかったし。

 まぁ、そんな自分も歳を重ねていくとともに嗜好も偏っていくなか10年20年経ってのちに目に止まるのも(惹かれていくのも)当然のことだったろうね。原作から読んで観てみようと。

   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・・石井隆脚本のせいだったか、ヒロインが名美のようにもみえなくものかんじ。その名美っぽくみえた沙耶こと演じる高樹さんのボソボソしゃべるかんじが(映画を観ながら)どっかで過去に聞いた覚えのある口調に終始聞こえ気になってしょうがない。劇中も観ながら誰だたかな~、何処で観た何の作品の誰の口調に似てるかな~と・・途中でわかった、あくまでも個人的経験による捉えにすぎないのだが、高樹さんの語り口調、アニメ映画『銀河鉄道の夜』での途中で乗車してくるタイタニック号の犠牲者のなかの女の子の声を演じた、作品のイメージ主題歌を歌った中原香織さんの声だと。それだけにすぎないのだが、気になって気になって。

 この作品、原作を読んでから映画を観るまで時間が経ったせいか、ラストの終わり方が思ってたのと違ったことで、え?終わり?と。てっきり自分は衝撃的なラストに「ケロイドのペニス」じゃないが、熱湯注ぎの断末魔の叫びを待ってたのだが、既に途中で明かされ、ラストでの(これも気持ちの悪い終わり方だったが)予告編でも流れた雨中の・・となったのだが、脚色されたか、原作からそうだったか、あれあれという間に終わり何とも後味の良くない終結に引きづらないが記憶に残る映画の一本として(全体的にも)満足した。

 そもそもヒロイン、夢をスケッチするだの、他人に食べるところを見られるのを嫌うなど、自分と共通する点がある、それに追加して不感症という(あまり付き合いたくないような第三者からみても面倒くさい)キャラ的には、三島由紀夫原作(映画化もされた)『音楽』のヒロインにも遠からずな設定のキャラぶりに傍から見たら近づかない方がいい、面倒くさいキャラに、なんで庇うんだ?付き合うんだ?のような違和感。

 そしてもうひとり忘れてはならない登場人物、土屋昌巳さん。なぜ(どういった経緯で)キャスティングされたのかもあるが、結果、この作品において主演の橋口こと名高さんを喰うほどの記憶に残るキャラぶり、怖いし、不気味だし、なんにしても良かったね。

・・原作もそうだったし、映画も最初はあまり期待してなかったが、よくありがちないわゆる普通のタイプの日本映画とはテイストがちがい、R指定ではないものの現実感の薄い、それこそ映画全編にわたっても夢のような展開に期待以上の作品に堪能したかな。