(映画パンフレット)『人間の証明』

 「犬神家の一族」に続いての角川春樹事務所製作第二弾。作品森村誠一の長編推理小説を映画化、脚本松山善三、佐藤純彌監督作品『人間の証明』(1977)

 英題「Proof of the Man」

 (出演)松田優作、岡田茉莉子、ジョージ・ケネディ、ジョー山中、三船敏郎、岩城滉一、高沢順子、鶴田浩二、ハナ肇、

 (音楽)大野雄二

 (主題歌)「人間の証明のテーマ」ジョー山中

・・「ストウハ」「キスミー」「西條八十詩集」

『母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?

ええ、夏、碓氷(うすい)から霧積(きりづみ)へゆくみちで、

谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

母さん、あれは好きな帽子でしたよ、

僕はあのときずいぶんくやしかった、

だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、

紺の脚絆(きゃはん)に手甲(てこう)をした。

そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。

けれど、とうとう駄目だった、

なにしろ深い谷で、それに草が

背たけぐらい伸びていたんですもの。

母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?

そのとき傍らに咲いていた車百合の花は

もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、

秋には、灰色の霧があの丘をこめ、

あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、

あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、

昔、つやつや光った、あの伊太利麦(イタリーむぎ)の帽子と、

その裏に僕が書いた

Y.S という頭文字を

埋めるように、静かに、寂しく。』

・・金田一耕助シリーズの映画のようにキャストをみただけで犯人はわかってしまうものなのだが、原作森村誠一さんも松本清張路線を通った作家だったので犯罪動機が清張作品タッチの因果があり切なく悲しく暗いが観心地があるよね。軽くないのがいい。

 

(映画パンフレット)『仁義なき戦い』

 飯干晃一原作小説を映画化、深作欣二監督作品『仁義なき戦い』(1973)大判サイズ

 (出演)菅原文太、田中邦衛、金子信雄、松方弘樹、梅宮辰夫、

・・まず、これはパンフかな?みたところプレスのようなかんじだがね。4作目の「頂上決戦」公開に合わせての発行だと思う。しかもおまけに文太さんの大きなポスター付き。

 このシリーズ、基本的にパンフ化されてないようだ。なぜだか。一作目からパンフはおろかプレスも碌に見かけたことがない。だからか公開記念発行これ、けっこう貴重なんじゃないかな。

・・今回久しぶりに映画観たけど、前に観たのはだいぶ昔だったんで・・いろいろあやふやな記憶のシーンなんかもあったようで初めて感の新鮮味があったなぁ。昭和版「アウトレイジ」ってとこか。「全員悪党」というより、「みんな死んでった」って感じだね。

 俳優として松方さんも梅宮さんも渡瀬さんもとくにファンというわけじゃないんだけど、ただ、この映画においての役ぶりはさすがに恰好良い。

 さらに金子信雄さんがいい。「アウトレイジ」でいうとこの國村さんの位置かな、威厳があるんだか無いのかどっちつかずの頼りない親分ぶり。金子さんはこの映画を観るまで料理人かと思ってたくらいだからね。昔、つけっぱなしのテレビで昼間ちょくちょく目にしてた東ちづるさんとのコンビでの料理番組のインパクトが大きくその頃まさか俳優だとは思ってなかったからね。

 この映画のシリーズふくめて東映での刑事ものアクションもの(テレビドラマものも)の銃の発砲音はオノマトペでいうとこの「バキュ~ン!」って感覚。最近の映画になってドン!あとは実録フィルムなどのリアルな映像での本物の銃の音だとパン!パン!と軽い弾ける音だよね。どの音がいい、悪いは無いけど、あらためて仁義なきを観て撃たれた人たちは(もがきはするが)すぐに死んでしまうので痛い感がこちらにあまり伝わらないようにも。なにしろ何月何日誰が死んだかとテロップつきのおなじみスコアと共に次から次に死んでいくのでなんだか目まぐるしい。

・・いづれ全作品は観てみないとね。