(映画パンフレット)(黒澤明作品)『生きものの記録』

 黒澤明、橋本忍脚本、黒澤明監督作品『生きものの記録』(1955)

 英題「Record of a Living Being」

 (出演)三船敏郎、志村喬、千秋実、清水将夫、三好栄子、青山京子、根岸明美、千石規子、太刀川洋一、東野英治郎、佐田豊、藤原釜足、左卜全、中村伸郎、

 (音楽)早坂文雄(遺作)

 「米国・ソ連の核兵器開発が急進展した冷戦時代に、アメリカ合衆国が1954年3月1日、ビキニ環礁で行ったテラー・ウラム型水素爆弾実験場の付近に居合わせたことにより、乗組員23名全員が多量の放射性降下物(死の灰)を浴びた遠洋マグロ漁船、第五福竜丸の事件。」

・・まだ若かった頃は、「七人の侍」や「天国と地獄」のような誰しもがまずお気に入りの作品としてあげられるように、たしかに自分もそうだった。 ただ、(これは自分だけか?それとも世の人々もそうなるか?)年齢重ねるとともに比較的地味な作品を好むようになってきている。まるで好んで食べてた食品も年とるごとに変わってくるかのように。それもなんのキッカケもなく自然とね。 そんななかの一本。

 同じく(現在の自分にとっては好ましい作品のひとつ)地味系な作品のひとつ『どん底』を久しぶり先日観たんだが、暗いながらも、こちらはこちらで落語を思わせられる、バイプレーヤーたちによる豪華共演映画(個人的にも涎もの)で、本作はコメディ色ないまでも、やはり鑑賞中も落ち着いて観られるこちらもバイプレーヤーたちによるコメディではなく、かと言って、原水爆の恐怖の恐ろしさがあまり感じられない、のちの「モスキート・コースト」のハリソン・フォードや向田邦子さんの「寺内貫太郎一家」での小林亜星さんを思わせられる独裁的キャラぶりに堪能。

 とくに終わり方もいいよね。ドラマチックな劇伴もなく(終のあとにテーマ曲がしばらく流れるかな)なにかが起きそうな何にも起きなかった精神病院のスロープでの長回しカット。緊張感のなかじっくり観てしまう。

・・パンフの表紙デザインについてはこれまでにも散々言ってきた(顔がただドォン!とあるだけパターンは好きではないんだが、この作品に関してはなんとも受け取れない、どう受け止めればいいのか、あまりのインパクトな、背景の真っ赤といい、(しょうじき三船さんとも伊藤さん(雄之助)にも見られるような表情のこれはいい。力強さが感じられるよね。怒りなのか、悲痛な叫びなのか、それともどっちもなのか・・。