(映画パンフレット)『虹をかける子どもたち』

 エキプ・ド・シネマ=ATG配給、宮城まり子製作、脚本、美術、歌、ナレーション、監督ドキュメンタリー作品『虹をかける子供たち』(1980)

  英題「Children Drawing Rainbows」

 (出演)ねむの木の子どもたち、宮城まり子、クリストフ・エッシェンバッハ、谷内六郎

 (撮影)岡崎宏三

・・宮城さん監督の過去作といい、これまで販売されてるパンフを何度も見かけてるのでたしかに存在は知ってた。ただ、わざとらしい良い話風につくられたようなドキュメンタリーなのかなと勝手に思ってたし特に気にかけていなかった。なにも無理して観る必要もないし、ただ観てなかっただけ。

 キッカケはNHK「日曜美術館」で谷内六郎さんの回で番組のなかで動いてる谷内さんをみて(それが本作)どんな役割り、芝居してるのかなと、この作品を観ようと・・レンタル化されてなく通常は全国各地で上映されるのを待つか、もしくはセルDVDを買うしかないとわかり・・買った。

・・いやぁ~、なんたる、多幸感な映画なこと。85分間、登場人物しかり観てるこちらも幸福感で満たしてくれる。ケンカ、争いごと、悲しみのみられない天国のような世界(本当はつらいこともあるだろうが)、あえてネガティブな部分はみせない小さな夢のなかのような絵本のなかの世界のようなファンタジーにくぎ付けられた。

 まぁ、なんにしても宮城まり子という存在。「まり子さんが48人いればいいなぁ」などあったように学園内のひとりひとりに親身に向き合う日本のマザー・テレサのようであり、そもそも絵を描き、歌を歌い(人参のくだりのハイテンションには「カリキュラマシーン」を思わせた)、パントマイムし、映画を製作(監督)する多芸ぶりに人間として惚れ惚れする。

 出演してる宮城さんはもとより園内の子供たちもキラッキラしてる。みんな笑顔で楽しそう。絵を描く時になると無心にカメラを向けられても何にも臆することなく物おじせずなんとも思ってない。絵も決して上手く描こうとしてなさそうで他人へのウケ狙いもせず魂から無心に一瞬一瞬を生きている。 観ててなにか諭されたようなかんじ、しかも映画じたいの純真無垢に思わず涙も出そうになるくらい、なにか湧き上がるものがあった。 一般には「障害者」といわれる人も当の本人たちは不幸もなにも思ってないんだろうなぁ。かえってそういう奇異な目で見る健常者こそ不幸で(と感じながら)日々を過ごしてるんじゃないかな。

・・この映画を観て益々現在も日々取り組んでいる夢モノパンフものの動画や思ったこと感じたことを綴る作業など自分の愉しみのために続けていこうと(楽しけりゃヒトのことなんてどうだっていい)クリエイトしていこうなど清々しい気持ちになったかな。いや~観てよかった。これからも二度三度観ることにもなるかもしれない。

・・ところでキッカケとなり期待してた谷内さん、劇中にそれらしき箒もったオジサンの登場に「あれ?この人かな?」と思ったほどのいたって普通のおじさん。顔もあまり出なくちょっとの時間だけであっという間だったけどスターオーラというより親しみオーラが出ててやはり偉人としての存在感はあったかな。