(映画パンフレット)『飛ぶ夢をしばらく見ない』

  山田太一原作の同名小説を映画化、須川栄三脚本、監督作品『飛ぶ夢をしばらく見ない』(1990)

  英題「I Haven’t Dreamed of Flying for a While Author」

 (出演)石田えり、細川俊之、加賀まり子、笈田勝弘、笹野高史、鈴木ヒロミツ、三谷昇、小林トシ江、

 (音楽)津島利章

 (主題歌)「ANIMA」伊東加代子

  ~第14回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞(石田えり)受賞~

・・原作は 未読。 タイトルの「夢」を見るなり 単に 夢モノ( 精神、心理モノ)なのかな? と思っただけの予備知識の全く無いなりに(とはいっても、昔から書店などで見かけた背表紙などよく見て確かに原作の存在はたしかに知ってたけどね)鑑賞。

映画始まるなり、冒頭からの『他人の顔』やフェリー二調を思わせられる非日常なカットに予想だにしないワクワク感。期待も大いに膨らむ。これはもしや全編ブニュエルやベルイマン調なのか?異次元もの?と、そのまま観てると落ち着いたムーディーなSF文芸ものときた。 そして劇中でも 説明もされない原因不明の若返りの病進行中の女・ファムファタール(同じ原作者作品による映画『異人たちとの夏』での 名取さんの幽霊の女を思わせられた)に魅了され惑わせられる中年窓際サラリーマンによる一時の男のための夢物語だったかもしれない。

・・とにかく、率直に石田さん良かったね。裸体も(全く卑猥に見えなく美を感じた)披露。十代の頃の雨に濡れた初々しいぶりも。同じく子役として5歳になった子役も惜しげもなく演じる。子供とはいえドキッとさせられたね。観ながら『攻殻機動隊』でのラストでのボディを変えた 草薙素子を思わせられたりも。 

・・フィクション だからあとから何とでも言えるのだが僻みやっかみに思えたことには、 物語として、病院でいったん別れた後、電話で「会いたい・・」と女の子からのアプローチ。 男がダンディな 細川さんだったからまだ良かったのか、声をかけたのか(一緒に部屋を共にした男が普通の自分のようなどうってことないどこにでもいるような容姿など市井人だったらそこまではしなかっただろうしね)、そうでない男だったら、さすがに(女の方からなにもモーションかけてこない)それっきりになっただろうね・・など。

・・まぁ、そこが映画ならではのマジック。

・・女としてもいくら 時間がないからといって誰でもいいわけでもないだろうしね。