(小説・エッセイ)(松本清張) 『遠い接近』

遠い接近1遠い接近2

  松本清張原作、自分も気に入ってるが清張作品定番である矛盾的抽象的題名のひとつ『遠い接近』(1971年)文春文庫。

・・印象に残ったのには読んだ人皆が挙げられると思うが召集令状での「・・ハンドウを回されたな・・」という象徴的な会話とラスト主人公山尾信治が取調室でポツリと呟いた「マモナク、ソチラニイク」が切なく悲しい。

基本的には家族を招集礼状によって失ったことによる復讐劇なのだが、戦地での上官(NHK松本清張シリーズでのドラマでは元ドリフターズの荒井注さんが演じてた)から結構いじめのような観ててキツイ教育が荒々しくそれだけ主人公(ドラマでは小林桂樹さん演じる)に同情が募る。

・・そういえばというかやはりというか、山尾の職業が色版画工であって他作品でいうと「鬼畜」の印刷工など清張氏が若き頃関わっていた職種に近いことで詳しく書かれたりしてるね。

(映画パンフレット) 『イギリスから来た男』

イギリスから来た男イギリスから来た男2

 スティーヴン・ソダーバーグ監督作品『イギリスから来た男』(1999年)

・・まず何より89分というコンパクトな尺がいいね。

原題は『LIMEY』。パンフレットを読むまで意味が判らなかった。人の名前かな?と思ったり。というか、古書店でこの文庫本サイズ大のパンフを手にとって表紙の”LIMEY”という字をみても何という作品なのか全然読めず判らず、中身を見て「あぁ、”イギリスから来た男”かぁ~」と初めて知ったほど(この作品の存在は以前からは知ってた)。LIMEY(発音的にはライミー)・・辞書によるとアメリカ人から見たイギリス人のことをいう蔑称らしい(ということは、日本人に対しての”ジャッ~”ということかな?)。

それにしても主演のテレンス・スタンプの独壇場(もっと云えばPVのような)の映画だったなぁ。共演のピーター・フォンダといい、歳をとっても皆ダンディで格好いいね。本編観た時には気づかなかったけど白髪の相棒役エイヴリー役が「バニシング・ポイント」主演のバリー・ニューマンだったとは。さすがに歳とった変わりように後でパンフで知った。同時にアメリカンニューシネマのひとつ「バニシング~」をまた観たくなったりなど。

本編途中に挟まれる主人公の若き日を描いたのがあって、けっこう似た人をキャスティングしたものだ感心しながら観てたらパンフで知ったことにテレンス・スタンプ本人の他作品の映像を挟んだらしい。どうりで・・。

海岸にそびえ建つメインとなる舞台の別荘を観てるとヒッチコックの「北北西~」の終盤の舞台となるラシュモア山ふもとの別荘をつい思い起こしてしまったりと。

・・最後にどうでもいいことをひとつ。本編途中、カランコロンとほんの僅か印象的に映されるパイプチャイムがまさにウチの玄関につけられているもの(2枚目写真)と一緒でちょっぴり嬉しかったりと。